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元歌舞伎役者の45歳書店員が語る、コロナ禍での「銀座 蔦屋書店」の日々

ビジネス

歌舞伎の世界で学んだ仕事術

蔦屋書店

佐藤さんが担当した企画の展示風景「清川漠個展」(2021年12月18日~2022年1月7日開催)

――仕事をする上で大切にしていることはなんですか?

佐藤:わからないことはわからないと伝えることですね。歌舞伎の世界では初めてのことをする時、それをなさっている先輩に「教えてください」って挨拶に行くんです。それで教えてもらったら、まずはその人のやっている通りにやる。

 一番いけないのは、知ったかぶりをして習わないでやることです。それをすると誰も教えてくれなくなります。わからないことはわからないと伝えて、誤魔化さない。そういった誠実さは、誰に対しても持っているべきだと思います。

「銀座 蔦屋書店」コロナ禍の取り組み

蔦屋書店

銀座 蔦屋書店には「日本刀・根付」売り場も

――2020年の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下で、GINZA SIX全体も休館していたそうですが、その間、銀座 蔦屋書店ではどのような取り組みをしていたのでしょうか。

佐藤:僕たちが店頭に出ることやお客様に来てもらうことができない状況だったので、EC(ネット販売)に力を入れていました。ECで販売できるもの、改めて提案できるものは何かということをスタッフ一丸となって考え、みんなでSNSで発信し、商材が入ったらすぐにネットで販売するということを繰り返していました。

――販売の場が現場からネットに移り、売り上げ自体もそうですが、店舗としての方針にはどのような変化がありましたか?

佐藤:再開できたとしてもお客様は以前と同じようには戻らないと想定していたのですが、その上でアートと日本文化というテーマをしっかり貫き、お客様に良い提案をしたい。アートと日本文化というテーマで作品を展示し、お客様に触れてもらえる場所、アーティストさんたちにとっても、ここで展示することを喜んでもらえる場所としてのお店を守りたい、という強い思いがありました。

 そして、その継続によって結果もついてくると考えています。あの状況下で、お店としてのこれからの方針が見えたのは良かったことだと感じています。

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