ファミリーマート初代CMOが語るモチベ維持のコツ「仕事はシミュレーションゲーム」
P&Gでのマーケティング手法とは
清水:それが今ではP&Gの名前を知らない人がいない状態になりましたが、どんなマーケティング手法があったのでしょうか。
足立:P&Gはあまり会社名を言わない会社で、商品名や商品ブランドで売っていくのがとても強い会社なんですよ。海外ではブランド自体を売ったり、買ったりすることが普通なので、ブランドに社名のイメージがつくとちょっと売りにくくなるんですよね。
P&Gでも基本的に会社名はあまり言わずにブランド名を推し出していました。90年代にP&Gがメジャーになった一番の理由は、シャンプーの「パンテーン」や「ヴィダルサスーン」、生理用品の「ウィスパー」、紙おむつの「パンパース」などヒット商品が増えて、市場での存在感が増したことです。
もうひとつは日本に本社ビルを建てたことですね。外資系は失敗したらすぐに撤退するのではないかという恐怖感を持たれることがあるんですが、日本に本社ビルを建てたことで日本市場にコミットすることが明確化されたので、採用なども随分変わったと思います。
経営者を目指すためコンサルティングの道へ
清水:すぐなくなってしまう会社に勤めようとは思わないですもんね。足立さんが「今、P&Gの社長をやっています!」となっていてもおかしくないと思うのですが……。
足立:結局P&Gには日本6年、海外2年の8年間いました。P&Gは職種別採用なのでマーケティング部で入社したらずっとマーケティングなんですよ。マーケティングを6年くらいやるなかで、もっと他の会社や業務のことも全部知りたいと思ったんです。
経営者を目指していたので、マーケティングだけだとちょっと弱いと思ってMBAに行くことも考えたんですけど、当時のP&Gは給料も安く、お金がなかったので勉強も兼ねてコンサルティングに行こうと決めました。