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利益1兆円ソニーと崖っぷちの東芝。何が明暗を分けたのか

ビジネス

「船頭多くして船山に上る」状態に

東芝

©︎monticellllo

 そして、今回の3分割案です。東芝は現在、社内の取締役2人、社外取締役6人で運営されています。3分割計画を主導したのは社外取締役5人の戦略委員会。社外取締役は投資ファンドが推薦したとされており、東芝は株主主導で経営改革を進めています。

 巨大組織を分割することは珍しいことではありません。ゼネラル・エレクトリックも2021年11月9日に組織を3分割すると発表しました。意思決定の迅速化やコングロマリット・ディスカウント(会社全体の企業価値が各子会社の企業価値の合計よりも小さくなること)の解消につなげることができます。

 しかし、東芝の3分割案は早くも暗雲が立ち込めています。11月24日にシンガポールの資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズが計画に反対する書簡を公表しました。3分割しても本質的な問題は解決しないというのです。

 巨額の増資によって様々な株主を呼び込んだ東芝。利害が交錯する中で苦渋の決断を迫られています。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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