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つくばと京都「東西の電気街」が相次いで消滅。“つくば消滅”には3つの要因が

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 1990年代後半に「秋葉原より安い電気街」として、関東各地から多くの買い物客を集めた「つくば電気街」。全3回の本連載「あなたはつくば電気街を知っているか」では、その歴史をたどります。

つくば

かつて「つくば電気街」と呼ばれた街路と「コジマ学園都市店」。最後まで残ったコジマの「太陽のマーク」は8月で見納めとなった。跡地はスギ薬局となる予定

 幹線道路沿いのわずか500メートルほどのあいだに「コジマ」「サトームセン」「石丸電気」「ダイイチ(のちのエディオン)」「カスミ電気」「ダイエー」など、大手家電量販店から地場家電量販店、パソコン専門店、総合スーパーまでさまざまな業態の店舗により「家電の安売り競争」が繰り広げられた「日本最大のロードサイド型電気街」は、2021年8月の「コジマ学園都市店」の閉店により約30年の歴史に幕を下ろした。

 最盛期には「日本一安い」といわれ、水戸市や日立市、さらには県境を越えて千葉県柏市など100キロメートル圏内を商圏とするほど栄えていた「つくば電気街」は、なぜ衰退の道をたどり、完全に消え去ってしまったのであろうか

大店法廃止が流れを変えた

 1つめの要因として挙げられるのが「大規模小売店舗法(大店法)の廃止」による家電販売店の大型化・分散化と、それに伴う競争の激化だ。

 2000年6月に大型小売店舗の出店を厳しく規制する大店法が廃止され、大規模小売店舗立地法(大店立地法)に移行。これにより、大店法時代と比較して大規模な店舗の出店が容易になった。

 そして、2002年3月にはヤマダ電機がつくば電気街から約3キロメートルの場所に「ヤマダ電機テックランドつくば店」(現・ヤマダデンキYAMADAweb.comつくば店)を出店した。店舗は3階建てで店舗面積は6,959平米。ヤマダは後発の利点を生かし、つくば電気街にあったどの家電量販店よりも大きな店舗を出店したのだ。

スケールメリットを生かしたヤマダ電機

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ヤマダテックランドつくば店(現・web.comつくば店)・YOUワールド。シネコン、温浴施設など併設。圧倒的な規模で大きな集客力がある(撮影:山村拓巳)

 2002年はちょうどヤマダがコジマを抜いて家電業界売上高首位に立った年であり、ヤマダは企業のスケールメリットを活かすことで安売り競争でも優位に立った。このヤマダの店舗はシネコンなどを備える「つくばYOUワールド」内にあり、その規模は開業に合わせて周辺道路が拡幅されたほど。ヤマダも相乗効果で大きな集客力を誇った。

 先述したとおり、ヤマダがある「つくばYOUワールド」はつくば電気街から3キロメートルほど離れていたが、車社会のつくばでは僅か数分で移動できる。こうして「品揃え」と「価格」で圧倒的な集客を得たヤマダに、他の家電店は苦戦を強いられるようになった。

 その後、2009年から2013年にかけては、つくば駅から1駅となりの研究学園駅近くのロードサイドにも「ヤマダ電機」と「ケーズデンキ」が相次ぎ出店した。両店ともに当時としては最新型の大型店舗であり、家電量販店の分散化はさらに進むこととなった

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