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非正規社員にもボーナス支給を。企業の言い訳「原資がない」はウソ

学び

 コロナ禍で業績が悪化、一向に回復しない企業は今冬のボーナスも“厳冬回答”が多い。一方で、業績が落ち込んでも前年と同額、微減で歯を食いしばる企業も。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが11月10日に発表した調査では、1人あたり支給平均額は前年比0.1%減の38万254円となった

オフィス風景

※画像はイメージです(以下、同じ)

 時代遅れな日本のボーナス制度に対して社会福祉士の藤田孝典氏@fujitatakanori)が提言する(以下、藤田氏寄稿)。

非正規社員は雇用者全体の4割

 ボーナスが支給されるのは正社員のみで、ほとんどの非正規社員は受け取れません。総務省の労働力調査によると、2020年における国内の非正規社員は2090万人で、雇用者全体の37.2%を占めます。

 この約4割の非正規社員が日本経済の足元を支えており、正社員と仕事内容が同じ人や正社員以上の働きをしている人も多い。にもかかわらず、低賃金で昇給もボーナスもないのは差別でしょう。

 労働組合なども、まだまだ基本的には正社員しか守ってくれません。私のもとにも低賃金の非正規の人からの相談が増加しており、一部は生活保護の申請をするほど苦しい生活を強いられています。

企業の内部留保を労働者に還元せよ

藤田孝典氏

藤田孝典氏

 これは本来支払うべき人件費を非正規雇用によってカットすることで、正社員や株主が儲かる仕組みです。非正規社員の待遇を改善すべく、ボーナス支給や賃上げは必須で、希望者の正社員化も必要です。原資には、国内企業が貯め込んでいる484兆円もの内部留保を充てればいい。政府は内部留保課税などで手を入れるべきです

 というのも、日本銀行は51兆円ものETF(上場投資信託)を持つ日本株の最大保有者ですし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は運用資産198兆円の25%である49兆円を国内株に投資しています。

 東証1部の時価総額が730兆円ですから、日本の大企業の大株主は政府機関。その意味で日本はすでに社会主義国なんですよ。これだけ、税金をじゃぶじゃぶ投入されて国に下支えしてもらっている企業が、原資がないなんて言える筋ではない。

 筆頭株主である政府も分配政策を講じて、労働者に還元させるべきです。

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