59歳元官僚の動画がTikTokでなぜバズったか?直撃に本人は「私は人に媚びるのが大嫌い」
「困りごと」はテレビとTikTokで違う
「年齢層は高めで、30代くらいの人が多いです。でも、10代の人にも世の中に関心を持ってほしいので、もっとリーチを広げていかないといけません。視聴者の関心ごとはバラバラですね。政治に不満を持っている人もいれば、学歴やキャリア形成、教育などに興味を持っている人もいます。それだけ世の中の問題はたくさんあるんだなと」
同時に、TikTokを通じて10代に動画を届けて、世の中に対する関心を啓蒙することも狙っていました。
「TikTokの視聴者と講演会の参加者を比べると、問題意識のベクトルは異なります。講演会の場合、日本の政治・経済といった大きな主語に問題意識を持っている人が集まりますが、TikTokでは自分の困りごとに関する質問が寄せられます」
半径3メートルの関心領域をいかに広げるか?
岸さんの動画はビジネスや教育、キャリア形成など、視聴者にとって“半径3メートル”以内の悩みに回答したものも多いのが特徴。アカウントを成長させるためにテーマを絞るクリエイターもいる中、どのような理由でオールジャンルの動画を扱っているのでしょうか。
「テーマを絞る気はないですね。現代人はインターネットの普及もあり、まさに半径3メートルの物事にしか目を向けないようになっています。だからこそ、それに合わせた情報発信にはしっかりと取り組まないといけません。一方で、自分ごととして捉えられる“半径”を広げられたら人生もより楽しくなると思うので、その点も応援したいと考えています」
現代人に情報を届けるには、まずは身近なテーマを入り口にすることが大切だそうです。では、“半径”を広げることの重要性とは?
「今の日本人のほとんどは年齢に関係なく、発想や視点が内向きになっています。たとえば、都知事選を見ても、東京はグローバルな都市なのに豊洲問題などが注目を集めるじゃないですか。もちろん、このような半径3メートルの問題も非常に重要なんですが、同時にすごく遠くの問題も両立して意識しないと、新しい発見や自分のやるべきことの気づきを得られなくなってしまいます」