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59歳元官僚の動画がTikTokでなぜバズったか?直撃に本人は「私は人に媚びるのが大嫌い」

ビジネス

TikTokは自分にとって“修行の場”

 これまで、テレビや大学での講義、講演会、セミナーなど、さまざまなフィールドで活躍してきた岸さん。そんな中、最近始めたTikTokではどのような点に違いを感じるのでしょうか。

「短い時間で伝えるべきことを伝えるのが、いかに難しいかを実感しています。ですが、現代はインターネットですぐに情報を取得できて、若い人の集中できる時間も短くなっている時代です。本質を短く伝えるスキルを身につけなければ、生き残ることはできません

 3分以内という厳しい制限時間のあるTikTokでは、伝えたいことをギュッと端的に表現することが求められます。大学教授やコメンテーターに求められることとは真逆ですが、「若者に情報を届ける上で、そのスキルこそが肝になる」と語ります。

「社会的地位の高い人や知識人のなかには、『自分は偉いから長く話して当たり前』という間違ったエリート意識を持っている人間もいます。それに対して周囲も忖度し、長々と話せるシチュエーションを用意するなど、悪循環を生み出してしまう。でも、世の中の大半の人は、そんな長話を聞きたいとは思っていません

岸流・話を短くまとめるコツ

岸博幸さん

 そこで、ついつい長くなる話を短く伝えるコツを聞いてみると……。

最初にわかりやすい言葉で結論を伝える。とにかくそれに尽きます。長々とした前提はどうでもいいから、結論ははっきりとわかるようにするのが大事です」

「たとえば、政治の解説をするときに民主主義の成り立ちから話す人もいますが、そういう小難しい観念って、視聴者にとってはどうでもいいと思うんですよ。余計な情報は取り除いて、ベースとなる部分を伝えることがポイントだと思います。もともと物事はシンプルにできていて、専門家が複雑化しているだけなんです」

 そう話す通り、たとえばSDGsについて解説した動画では、冒頭で「SDGsとは、経済と社会と環境の3つが調和の取れた発展を目指すこと」と、結論を提示しています。

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