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女性活躍を阻む「中間管理職の“粘土層”」って?

ビジネス

「一億総活躍社会」、「働き方改革」……。その大きな潮流の中で「女性活躍の推進」は避けては通れない課題だ。今回は女性の人材育成が専門で、これまで延べ5万人以上の働く女性を支援してきた、太田彩子氏に話を聞いてみた。

太田彩子氏

――現代社会において、女性の働き方はどのように変わってきましたか?

太田彩子氏(以下、太田):少子高齢化社会の中で、女性の力を活かさざるを得ない時代になりました。当事者である女性も結婚を機に辞職するのが当たり前な時代ではなくなってきました。主婦や育児中の女性を積極的に活躍支援する方向に、政府もようやくメスを入れ始めたところですよね。

 私も働く女性の支援に取り組む中で、良い流れは感じてきています。今までは男の世界だった企業の管理職会議や店長会議のようなところにも、女性が参加する場面が多くなってきたようです。例えば建設業の現場代理人や営業職など、これまでは男性が担当すると思われていた領域でも、徐々に女性が活躍できるようになってきました。

 気遣いや細やかな調整、円滑なコミュニケーションなどは、もちろん個人差もありますが、比較的女性のほうが得意だったりしますね。そのようなスキルが生かされ、評価もされる女性が増えています。

――全体としては、「女性活躍」に向けて良い流れがきているのですね。

太田:ただ、実際に働く女性を見ていると、「現実はまだまだだな」と思うところも多くありますね。例えば、統計によると営業職で働く女性はいまだに全体の約15%ほどです。新卒で入社しても、10年後、営業として残っているのは1割というデータもあります。それはやはり、出産・育児というライフイベントがキャリアの一時中断をさせてしまうこともあるからです。

 日本の場合、共稼ぎであっても、家事や育児の8~9割は女性が担っているのが現状です。育児と両立しながら働くために、家事代行サービスやベビーシッターなど、家事育児をアウトソーシングする人も増えていますが、両立の精神的プレッシャーも相まって、「正社員は無理」「だったら専業主婦のほうがいい」と、キャリアを諦めてしまう人が後を絶ちません。

 育児休暇取得率ですが、男性の取得率はいまだ2.6%と、極端に低いです。いくら“イクメン”なんて言葉が流行っても、これが現状なんです。企業風土や社内の空気によって、「言い出しにくい」「取らせてもらえない」という企業があまりにも多いんですよ。

 少子化によりどんどん労働力が減少していく中で、労働力を確保するには、既存の業界や企業に合わせた働き方を押し付けるのではなく、1人1人のいろんな働き方を企業側も許容していかないと難しいと思います。

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