関西スーパー買収を目指す「OKストア」店舗・従業員数に見る強さの秘訣
OKストアの店舗・従業員ごとの売上額
とはいえ、スーパーも営利企業なので「1店舗あたりの人員」を手厚くするだけでは意味がありません。結果として売り上げが伸びているのかを見ていく必要があります。そこで、「店舗あたりの売上額」「従業員あたりの売上額」をグラフにしてみました。
今回の売上額は、最初のグラフで扱った「テナント以外の売上高」に限定しています。その方が「店舗自体の売上」をよりはっきり見ることができるからです。
まず、店舗あたりの売上額推移を確認しました。グラフのオレンジ色部分から見てもわかる通り、4期連続で増加しています。店舗型のビジネスの場合「店舗を増やすと売上も上がる」という傾向がありますが、1店舗あたりの売上額も伸びているので「既存店舗も全体的に底上げができている」と言えそうです。
続いて、「従業員あたりの売上額」も確認しました。こちらもわずかに上昇傾向がみられます。急激に人を増やすと「従業員あたりの売上額」は減少したり横ばいになっていたりするのですが、増加傾向なので「教育コストを上回る売上」を出せているということです。したがって、業績・数字の面ではOKストアは「優等生」と言ってもいい状態でした。
特徴的なニュースを振り返る
これらの業績情報を踏まえて、OKストア関連の特徴的なニュースについても振り返ります。まず、関西スーパーの買収提案について時系列を整理します。
8月31日にH2Oリテイリングが、子会社のイズミヤ・阪急オアシスによる関西スーパーマーケットの経営統合を発表すると、関西スーパーも同様のプレスリリースを公表します。しかし、9月3日にオーケーが関西スーパーに対する1株2250円(上場来高値)でのTOB提案し、関西スーパーマーケットはH2Oリテイリング側につくとプレスリリースで公表。9月6日に関西スーパーの株価が急騰しました。10月29日には関西スーパーが臨時株主総会を開催予定となっています。
時系列や各社のプレスリリースを見る限り、現状の関西スーパーはOKストアの買収提案を受け入れない想定で動いていると考えられます。しかし、「上場来高値」での公開買い付けは株主・企業にとっても十分メリットがある提案です。
オーケーが9月3日に公表したプレスリリースによると、関西スーパー側がこの提案を十分に吟味したとは言えなさそうです。また、関西スーパーが同日に公表したプレスリリースにも「H2O リテイリングの提案」については具体的な内容は記載されていません。一方、関西スーパーの株価は9月3日の公表以降上昇傾向が続いており、9月8日に2203円に最高値更新すると、10月以降も1900円台をキープしています。株式市場はOKストアの提案のほうを好意的に評価していると考えて良さそうです。
その他、特徴的なニュースとして「新山下店でのカード不正利用」の件についても触れます。本件はOKストア新山下店の元アルバイト従業員が勤務中にクレジットカード情報を不正に取得し、2020年6月23日に逮捕されていたということです。明らかな刑事事件であるので、OKストア側も6月29日にお知らせで内容を公表しています。1店舗あたりの従業員数が増えていても、従業員の不審な行動に気づきにくい体制だったとは言えそうです。