大塚家具、“お家騒動”だけじゃない失敗の本質。ヤマダの子会社になるまで
反父親路線が取引先や職人の反発を招く
計画は完璧とも言えるものでしたが、執行能力を欠いていたのは明らかでした。久美子氏は、勝久氏とは別の路線をとることに固執しすぎたのです。この態度が古くから付き合いのある取引先や、技術力の高い家具職人からの猛反発を食らいます。
取引先は離反し、家具職人が会社を去りました。経営は混乱状態に陥り、2016年12月期、2017年12月期は2桁ペースで売上高が落ち込みます。
そして50億円を超える大幅な営業赤字を出すようになりました。2018年12月に創業の礎となった春日部店を2億1800万円で売却。運転資金にも窮するようになります。
ヤマダにとって大塚家具は「最適な存在」
資金繰りが悪化したため、2019年12月にヤマダホールディングスと資本提携を締結。ヤマダホールディングスが過半数の株式を保有して子会社化しました。そして2021年6月に完全子会社化することが決定しました。
ヤマダホールディングスは、2011年10月にTOBで住宅の建築販売をするエス・バイ・エルを子会社化。2018年6月に完全子会社化していました。これによって家電から住宅までの複合的なサービスを提供できるようになっていました。ヤマダホールディングスが進めていた、人々のライフスタイルを支えるという事業構築において、大塚家具は最適な存在でした。
久美子氏は2020年10月に自ら辞任を申し出ました。現在の社長兼会長は三嶋恒夫氏です。三嶋氏は2017年1月にヤマダ電機に入社し、2018年6月に代表取締役社長に就任しました(2021年9月15日、同月末付で健康上の問題により社長職を辞任すると発表)。大塚家具はヤマダホールディングス一色となり、新たな船出をすることとなりました。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>