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脳梗塞を患ったリクルート元社員の31歳CEO。笑って死ねるか?を追求するワケ

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高校時代からの夢「不治の病を治したい」

「不治の病を治したい、これが高校時代からの僕の夢です」

 中川さんは大学院では精密工学を専攻し、介護ロボットなどを研究した。現代では治療が困難な病気にITやテクノロジーからアプローチしようと考えている。手がけたもののひとつに「起立補助型スマート手すり装置」(IoT手すり)がある。

IoT手すりは、高齢者の方の健康状態をリアルタイムにモニタリングするための装置です。布団やベッド、ソファなどから立ち上がる際に、脇に置いて使うもので、その依存度合いや体重のかけ方から、健康状態の変化を記録することができ、健康状態の予測モデルを生成できます。

 例えば、『直近1か月でこれだけ手すりへの依存度が高まっているので、5年後にはリハビリが必要なぐらいにまで身体機能が低下します。よって、今から定期的な運動を習慣化させましょう』といった提案ができるようになります」

 IoT手すりには、東京大学の研究者とともに研究開発したアルゴリズムが搭載されていて、特許も取得済みだという。

自身のパーソナルトレーナーをスカウトして仲間に

ZENNA公式サイトより

ZENNA公式サイトより

 また、一般向けに展開されているサービスに、2019年7月にリリースされたオンラインパーソナルトレーニング「ZENNA」がある。

ZENNAは自宅にいながらトレーナーと1対1でフィットネスができるサービスです。移動や準備に時間がかからないため忙しい方でもできること、また月6000円からとリーズナブルな料金ではじめられることもあって好評です」

 どのような経緯で始めたサービスなのだろうか。

「ZENNAでトレーナーをやってくれている1人は、リクルート時代に僕が個人的にお世話になっていたパーソナルトレーナーです。もともとはとあるジムの所属トレーナーでしたが、僕が『こういう仕事をやりたい』と話したら興味を持ってくれて、一緒に働いてくれることになりました」

 2020年9月では200人弱だった会員数は、現在2000人超にものぼる。コロナ禍の巣ごもりが追い風となっているという。起業から約5年。事業も順調に成長して充実した日々を過ごしていた中川さんだが、2021年1月、大病により命の危機に見舞われることになる。

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