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元女子YouTuberが語る、動画の魅力「日常の姿が“性に悩む子供たち”の救いに」

暮らし

 今では多くの人が当たり前のようにYouTubeを視聴しています。そして投稿者であるYouTuberも多種多様です。女性から男性へと性転換をしたトランスジェンダーの奏太さん(29歳・@kanata_kimotoもそのひとりです。

奏太さん

奏太さん

 YouTubeがまだ普及していない時代に10代を過ごした奏太さん。LGBTQ(性的マイノリティの総称のひとつ)の認知度を高めるという意味でYouTubeには大きな魅力があると話ます。

 これまでの半生について聞いた前回に引き続き、今回はYouTubeの魅力、今後の展望などについて聞きました。

YouTubeに救われた人は多いはず

――YouTubeの魅力はずばり、なんだと思いますか?

奏太:さまざまな配信者がいることですね。これは僕自身の経験とも重なるのですが、YouTubeのようなメディアができたことによって救われている人は多いはずです。

――YouTubeに救われるとは、どういうことでしょう。

奏太:僕が10代のころはSNSもまだ今ほど普及しておらず、YouTubeもまだ一般的には広がっていませんでした。特にトランスジェンダーについてはテレビで知る情報ばかりで……。僕にとっては、そのときに感じた“トランスジェンダーに対する世間の印象”というものがあまりよくなかったんです。

ドラマで描かれるトランスジェンダー「こんな過酷なんだ」

高校時代の奏太さん

高校時代の奏太さん

――2000年代ですよね。

奏太:当時だと『3年B組金八先生』で上戸彩さん、『ラスト・フレンズ』で上野樹里さんが、身体は女性で心は男性のトランスジェンダー役を演じていました。

 作中では最終的に2人とも良い方向に進んでいきますが、基本的にはずっと暗いんですよ。他人にヒドいことを言われて傷ついたり、自分の身体を傷つけたり……。それを見て「トランスジェンダーってこんなにつらい人生を歩まなくちゃいけないんだ」って思っちゃいましたね。

――YouTubeではそうではない情報も伝えられると。

奏太:テレビドラマはエンタメ的にそういう描き方になってしまうのは、ある種仕方がないんです。でも、YouTubeはLGBTQ当事者であっても、LGBTQの話題に触れない動画を投稿できるし、ドラマみたいに劇的な展開がなくてもいいんです。

 例えば僕が普通に生きているだけの日常の動画が、自分の性に悩んでいる子どもたちにとっては「普通に生きられるんだ」と救いになるかもしれません。そういうところが、YouTubeの好きな点ですね。

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