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スノーピークの株価が2か月で2倍に…アウトドアブームで絶好調な業績を読み解く

ビジネス

社長交代で何が変わる?

キャンプ

 スノーピークは2021年3月27日に新体制となりました。登山用品メーカーだったスノーピークを国民的なアウトドアブランドに成長させた山井太氏が会長となり、その娘である山井梨沙氏が三代目社長に抜擢されました。山井梨沙氏は服飾を学んでアパレルブランドに勤務した後、2012年にスノーピークに入社しました。2014年にアパレル事業の「スノーピークアパレル」を立ち上げています。

 2019年12月期のアパレル事業の売上高は17億2000万円。構成比率は全体の12.1%に留まりますが、5年で20億円近い事業に育て上げた手腕は目を見張るものがあります

 スノーピークはアパレル事業を伸長する計画を明確に打ち出してはいませんが、顧客生涯価値を提供するというビジョンを掲げており、近い未来アパレル分野がその中核を担うのは間違いありません。アウトドアブランドとして一定の認知を得た今、山井梨沙氏を社長に抜擢したのは次なる成長エンジンを作り出すことが目的でしょう。アウトドアアパレルはビジネスチャンスがある市場でもあります。

同業ではワークマンが好調

ワークマン

 この分野に進出し、快進撃を続けているのがワークマンです。もともと作業着に特化した衣料を取り扱っていましたが、その機能性を活かして一般向けのアウトドア商品を取り扱うようになりました。2021年3月期の作業用品の売上高は375億2000万円、アウトドアウエアなどのワーキングウエアは458億900万円。アウトドア系の衣料は売上構成比率の31.2%を占めてトップとなっています。

 ワークマンは一般向けの衣料を扱うワークマンプラスへと転換を進めており、2021年3月期は45店舗を新規で出店、53店舗のワークマンをワークマンプラスへと転換しました。ワークマンは作業着で培ったノウハウを活かし、高機能・低価格路線で成功しました。

 ノースフェイスやパタゴニアなど、強力なライバルがひしめくアウトドアアパレル。スノーピークがどのようにして勢力を拡大するのか、注目が集まるポイントです。

<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>

外食、小売り、ホテル業界を中心に取材を重ねてきた元経営情報誌記者。現在はコンサルタントという名の中小企業経営者のサンドバッグ役を務めるかたわら、経済の面白さを広く伝えるため、開示情報を分析した記事を書いている。好きな言葉は美食家・北大路魯山人の「硬め、麺少なめ、ニンニクマシマシ」

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