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金輸入で合法的に儲けられないか? シミュレーションしてみた

コラム

 モデルの高垣麗子(38)の夫でミュージシャンの森田昌典(41)が、香港から金地金(いわゆる金の延べ棒)を密輸しようとしたとして、関税法違反、消費税法違反などの疑いで3月7日、逮捕されました。

 今回はそもそも密輸とはなんなのか? なぜ日本で金の密輸がたびたび問題になっているのか? 税関のウェブサイトや財務省関税局の公開する資料などから読み解いてみました。

「密輸」とは無申告で物品を持ち込むこと

金地金

※画像はイメージです(以下、同じ)

 日本では、海外から日本に入国(帰国)する際、税関にて「輸入が禁止・規制されている物品」「申告が必要な範囲の額の現金などの所持の有無」を「携帯品・別送品申告書」の提出にて申告しなくてはなりません。

 この税関検査ののち、物品に応じた関税や消費税を払うことになります。これを免れるために無申告で物品を持ち込むことが一般的に「密輸」と呼ばれている行為になります

 ただ金地金の場合、「国際相場価格があり、卸取引の段階と小売取引の段階で価格の間に相当の差異がないと認められる」ため、課税対象となりません。しかし日本の場合、金地金は消費税の課税対象となるので、持ち込みの際は税関で8%の消費税を納めなくてはなりません。

 今回の森田容疑者の事件では、共犯者を合わせた3人が結託して、金地金に消費税を課税しない香港から金地金4キログラム(時価1880万円相当)を密輸入。

 リュックサックに入れて持ち込もうとしたところ税関職員に発見されたといいます。国内で消費税込みの価格で転売し、約147万円ほど(1880万円としたときの消費税分)を儲ける計画だったというわけですね。

「消費税増税」により金の密輸は増える?

 関税局の公開資料によれば「平成28年に金地金密輸を摘発した件数は811件であり、押収量は約2.8トン」であったのが、「平成29年1月から9月までの金地金密輸の摘発件数は976件、押収量は約4.5トン」と短期間でも急増していることがわかります。

 金密輸グループと親しいA氏はその理由についてこう話します。

「日本で密輸が流行る背景には、国内の消費税増税と世界的な金の高騰があります。たとえ税関に見つかったとしても罰金のみで済み、刑事告発に発展するケースが非常に少なくローリスクということも理由のひとつです。

 2019年には消費税が10%に上がるので、増税分の利益を狙って今後、金の密輸はさらに増加していく可能性もありますね

 このような密輸の増加に対して関税局は2017年11月、「ストップ金密輸」と銘打ち緊急対策を打ち出しています。

 出国時の保安検査で使われていた門型金属探知機を新たに入国時の税関検査にも導入するなどして検査の強化を図ったり、密輸事件の組織性を踏まえての厳罰化、さらには金密輸を阻止するために情報の収集および分析の充実を図っているとのことです。

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