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“大味アクション映画”からの脱却…最新MCU作に見る、アメコミ映画の現在地

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 アメコミ原作の映画が公開されれば、今やトレンドになるほど、日本でもポピュラーなものとなったマーベルと DCコミックス。2021年7月8日には『ブラック・ウィドウ』、8月13日には『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』が公開する。

ブラック・ウィドウ

『ブラック・ウィドウ』 ©︎Marvel Studios 2021

 その他にも『シャン・チー』『エターナルズ』『ザ・バットマン』と多くの作品が待機している状態で、最近ではドラマシリーズも活発になっている。今回の記事では、そもそもなぜこんなにもアメコミ映画が連続で公開されるようになったのかを検証していきたい。

ハリウッドのネタ切れで注目が

 きっかけは、ハリウッドのネタ切れ危機によるものだった。2000年以降、完全オリジナルの映画が不調となり、映画会社は興行的な失敗を恐れ、なかなか製作に着手できない時期が続いていた。そこで目を付けたのが、リメイク、続編、コミックの映画化である

 スパイダーマン、X-MEN、ハリー・ポッター、ターミネーター 、バイオハザードなどなど……アメコミに限らず、シリーズ映画ばかりが劇場を埋めつくしていた時期もあったりと、飽きられつつある様にも感じられるほどだった。

 ヒットするかわからない冒険的なものより、もともとの知名度があって、観客が劇場に足を運ぶハードルを下げるものとして、それらが連発されるようになったのだ。それに加えて、映像技術の進歩により、表現の幅が圧倒的に増えたことが、さらに拍車をかけた

日本ではいまいち盛り上がらず

スーパーマン

画像はイメージです ©︎Konstantin Yuganov

 日本においては、アメコミ自体は、それこそ60年代に『月刊スーパーマン』が出版されたり、90年代にはカプコンから対戦ゲームが発売されたりと、身近な存在の時期もあった。しかし、「アメコミヒーローといえばスーパーマン」という印象から離れられず、全身タイツのマッチョで男臭いというようなステレオタイプなイメージが先行してしまったせいか、いまいち盛り上がりにかけた

 2000年代前半のアメコミ映画を振り返ってみると、サム・ライミが手がけた2002年の『スパイダーマン』は、アメコミ映画というよりは、キャラクター・アイコン的にヒットした要因が強かった。だが、その他の『デアデビル』『ファンタスティック・フォー』といった作品は、公開されれば話題にはなるものの、どうしても知名度の低さが邪魔をしてしまっていた。

 当時、原宿にあったアメコミ原書を扱うブリスター(現ブリスターコミックス)なども、積極的にアメコミ普及のためにプロモーションをかけていて、2005年には渋谷の駅近くに移転し、マイケル・ジャクソンが来日した際に立ち寄って話題にもなったが、残念ながら2008年に閉店してしまった。

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