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“大味アクション映画”からの脱却…最新MCU作に見る、アメコミ映画の現在地

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アクション映画に新たな風が

映画撮影

 大味な娯楽アクション映画といったアメコミ映画の印象を覆しそうな作品はまだほかにもある。それは監督起用を見ればわかる。9月3日公開予定の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のデスティン・ダニエル・クレットンは、実際にあった冤罪事件を描いた『黒い司法0%からの奇跡』の監督。

 11月5日公開予定の『エターナルズ』は、『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオといった様に、あえてアクション映画に今までなかった新しい風を取り込んでいる。

 Disney+で配信中の『ファルコン&ウィンターソルジャー』に関しても、映画では描き切れなかった、奴隷制度、公民権運動といった、アメリカが抱える黒人の歴史や、今も根付いてしまっている無意識な差別意識などにも触れていて、なかなか攻めた内容である。確実に言えることは、今や簡単に「アメコミ映画」と、まとめることができないジャンルになりつつあるということだ。

<TEXT/映画ライター バフィー吉川>

映画評論家・映画ライター。映画情報&批評サイト「Buffys Movie & Money!」を運営中。Stand.fmなどの音声メディアで「バフィーの映画な話」も定期的に配信中。著書に「発掘!未公開映画研究所」(つむぎ書房)がある

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