人気マンガ『男の猫道』の作者が語る「会社員の経験が、フリーになっても活きた」
大人気4コマ漫画『男の猫道』(ねこのきもち・ねこのきもちWEB MAGAZINE/ベネッセコーポレーション)の作者でイラストレーター、二階堂ちはるさん(32歳・@Chiharu_Nikaido)。18歳で美術系短大を中退し、フリーランスに。イラストの腕をどう磨き、仕事を得てきたのか、今日までのリアルを聞きました。
短大を中退して18歳でフリーランスに
――いつ頃からイラストレーターを目指そうと思ったのですか?
二階堂ちはる(以下、二階堂):母の話では、物心つく頃からペンやクレヨンを握って、何か絵らしきものを描いていたみたいです(笑)。
小学生ぐらいの頃は『りぼん』『なかよし』『少年サンデー』などをよく読んでいて、漫画家になりたいと思っていました。『美少女戦士セーラームーン』『らんま1/2』が好きで、夢中になって模写していましたね。
絵を描くことを仕事として意識し出したのは、もっとずっと後のことです。漫画はストーリーを考えなければいけないので、自分にはちょっと無理だなと思い、イラストレーターを目指すようになりました。
――短大を中退されて、いきなりフリーランスになったそうですが……?
二階堂:高校を卒業して、美術課目のある短大に進学しました。ところが、入学してからわかったのですが、アート系の職業に必要な技術やノウハウに関するデッサン、コーディネートなどの授業は1年生までだったんです。
入学前にちゃんとカリキュラムを確かめればよかったのですが、2年生からは事務関係のような授業が中心となっていました。OGも一般企業で事務職をしている人ばかりで、目指す方向性とは違うと感じ始めました。
このままここで学んでいてもイラストレーターにはなれないと考え、思いきって中退し、18歳でいきなりフリーランスのイラストレーターになりました。今思うと、大胆で怖いもの知らずだったと思います(笑)。
手当たり次第に出版社へ電話営業
――未経験でのフリーランス、苦労しませんでしたか?
二階堂:すごく苦労しました。営業のやり方もわからないので、ネットで出版社などを調べて、手当たり次第に電話して。相手にしてもらえないことがほとんどでしたが、それでもめげずに問い合わせ続けました。
なかには「会いましょう」と言ってくれるところもあったので、イラスト作品のポートフォリオを作り、それを抱えて出かけました。なかなか仕事には結びつきませんでしたが、自ら動くことが大切だと思って。
その頃はまだなかったのですが、のちにランサーズなどのフリーランスプラットフォームのクラウドソーシングサイトが出現してきました。そういうところにも登録して、コンペにもずいぶん参加しましたね。
――いちばん最初にゲットしたイラストのお仕事は?
二階堂:実は、私は三姉妹の三女で、長姉がフリーランスのエディターなんです。その姉が、朝日新聞出版のビジネス書のカット(挿絵)を描かないかと言ってくれて。出版関係のパーティーなどにも呼んでくれました。
今でも、時々、姉から仕事をもらっています。ホント、姉には心から感謝しています。10歳年上の姉なんですが、姉妹で一緒に仕事しても何とかうまくやってこれたのは、年齢が離れているからかもしれませんね。