人気マンガ『男の猫道』の作者が語る「会社員の経験が、フリーになっても活きた」
ペンタブの便利さに驚いた
――その後、アパレル企業に入社されたそうですが、それはなぜですか?
二階堂:学生から就職せずにフリーランスになったため、メールの書き方とか、いわゆる社会人としての一般常識みたいなものが全然わかっていませんでした。自分自身、それに不安を覚えたのが、第1の理由です。
第2の理由が、私、割とアナログなやり方で仕事してたんです。手描きしたイラストをスキャンしてPCに取り込み、Photoshopで加工して……という具合で。Illustratorもちゃんと使えませんでしたし。
ですから、修正が入ると大変でした。最初から描き直ししなければいけなくて。もっと効率的に、スピードアップするには、やっぱりデジタルのテクニックを身に着けないといけないなと思いました。
ちょうどその頃、アパレル企業でグラフィックデザイナー兼イラストレーターを募集していたんです。で、採用面接時にテストがあり、ペンタブでイラストを描くように言われて。未経験なので、すごくヘタでした。
ショックなのと同時に、ペンタブってこんなに便利なのか! と思い知りました。どうにか無事採用され、ペンタブを使いこなして働きたいという思いがかなえられました。
アパレル企業で経験を積みリスタート
二階堂:Illustratorやペンタブを使えるようになったのはもちろんですが、いちばん勉強になったのは営業ですね。営業担当者が取引先との打ち合わせへ出かけるのに同行し、「営業って、こうやるんだ」と学びました。
また、アパレル企業ですから、パンフレットやパッケージはもちろん、Tシャツのデザインも手がけました。胸に英文字とか入ってる、アレです。何でもやったので、今、幅広く対応できるのはそのおかげと思ってます。
――そのアパレル企業には、何年勤めたのですか?
二階堂:3年です。お給料をいただけるようになって、確かに生活は安定しました。その前は実績もないままフリーランスになったので、イラストだけでは生活できず、アルバイトもいろいろしていましたから。
ただ、お給料の場合、いくらたくさん仕事をこなしても、そうそう金額は増えません。自分が仕事した分に見合った対価を得たいと思うようになり、再びフリーランスに戻ることにしました。