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有吉弘行「すれ違いを潰す」発言は芸能人だから?一般夫婦の本当の“離婚理由”とは

暮らし

高速道路の渋滞で一緒に過ごせるか

高速道路

――若い人は仕事以外の部分でも相手を見たほうがいいと。

稲田:男女ともに若くしてバリバリ仕事をしている人は、プライベートでも恋人や友人に仕事の話ばかりしがちですが、そういう人には、仕事以外の話も振ってみてください。趣味の話題でもいいし、最近のニュースや天気の話題でもいい。そういった、どうということのない話をして盛り上がらなかったり、場がもたないようであれば、結婚相手としては適していません。

 なぜならそういう相手と結婚すると、何かしらの理由で仕事内容が変わり、今までほど意欲的に仕事に取り組めなくなった瞬間、一気に夫婦間の話題がなくなってしまうからです。そこまでいかなくても、仕事がうまくいっているかいっていないかに、夫婦関係が大きく影響を受けてしまう。夫婦の関係性を変化が予測できない外部要因に依存させすぎるのは、危険です。

 今のコロナ禍やリモートワークがいつまで続くかもわかりません。家族が一日中家にいる状態なので、ストレスも溜まります。そんなとき、夫婦の話題が仕事の話だらけなんて、想像しただけでもゾッとしませんか?

――確かに。

稲田:僕が結婚相手として適しているかどうかのリトマス試験紙としておすすめしているのは、結婚前に二人でわざと高速道路の渋滞にはまってみることです。トイレも行けない、食事もできない、スケジュールも立たない。この世であれほど不快なものはありませんよね。あの何もできない密室空間で、もし雰囲気が悪くなることなく何時間も過ごせるのであれば、そのカップルは結婚してもおそらく大丈夫(笑)。

 多くの人は、心がざわついたり魂が燃え上がるようなパッションを呼び起こすような人を結婚相手として選びがちです。だけど、それらは「遊園地に行ったら疲れるけど楽しい」ようなもの。週1のデートならいいけど、結婚生活のように何十年も続けるには、人によっては結構しんどい局面もある。

 何十年間もの平穏無事、すなわち「持続可能性」を最優先にするなら、たいしたイベントがなくても長時間一緒にいて不快ではない人を選ぶべき。つまり不愉快な高速道路の渋滞を一緒に乗り越えられるような、「助手席の人」ということですね。

<取材・文/永田明輝>

【稲田豊史】
編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ぼくたちの離婚』(角川新書、女子SPA!で連載中)、コミック『ぼくたちの離婚1』(漫画:雨群、集英社)、『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)など

気候変動が進む地球の環境問題どうにかして。そんな雑食系ライター

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