すき家は一人勝ち、松屋は大苦戦。コロナ禍の牛丼チェーンを徹底比較
客単価を上げる努力が必要か
松屋は低価格を武器として、若者の取り込みに注力していました。それはマーケティングによく表れています。松屋は公式Instagramが“尖っている”とSNSで話題になりました。商品の紹介をするわけではなく、モデルを活用した目を引くアングルの写真を投稿したのです。これは明らかにバズを狙ったもの。若者の間で公式アカウントの投稿を拡散させ、記憶に定着させたりブランドを想起させる手法です。
低価格路線を貫く松屋は、他社に比べて客数を多く獲得する必要があります。その裾野を広げるために、SNSなどを活用したマーケティングを実施しているものと考えられます。しかし、新たな手法に頼るほど販促費は嵩み、利益は圧迫されます。
新型コロナウイルスによって会社や大学はリモートが推進されました。仮にワクチンで元の日常に戻ったとしても、人は一度得た便利さは手放しません。リモート化は少なからず残るでしょう。客数がコロナ前の水準に戻る保証はありません。
松屋は販促コストを膨らませて客数をとるよりも、メニュー開発で商品力を高め、客単価を上げる努力が今後必要になると考えられます。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>