すき家は一人勝ち、松屋は大苦戦。コロナ禍の牛丼チェーンを徹底比較
意識調査で3社の差が如実に
少し古いデータになりますが、2011年3月に調査会社インターワイヤードが実施した牛丼チェーンにまつわる消費者の意識調査に、3社の差が如実に表れています。
これは牛丼店を選ぶ理由について調査した内容で、「自宅から近い」と回答した割合はすき家が41.1%で圧勝。松屋は30.1%、吉野家は23.6%でした。「行きやすい場所にある」は、すき家が32.9%、松屋が32.0%、吉野家が25.9%でした。やはりすき家がトップです。
一方、「職場から近い」という回答に対しては、松屋が19.6%、吉野家は9.1%、すき家は8.7%でした。松屋が突出しています。職場から近いとの回答が多い松屋は、コロナ禍の1店舗当たりの売上高が10.2%減少しています。リモートワークの推進や繁華街の人の流れが減少した影響を強く受けていますね。
すき家の1店舗当たりの売上高は7060万円。減少幅は3.8%と吉野家とほぼ同じ水準でした。しかし店舗数に注目すると、吉野家は2.1%減少している一方、すき家は2.2%増加しました。
すき家の既存店の売上高はわずかに落ちましたが、すき家は出店に転じて売上をカバーしたのです。これがコロナ禍で他社を引き離した2つ目の要因です。不採算店を少なく抑えられたすき家は、コロナ禍でも出店をかける余裕がありました。
低価格路線で若者の取り込みに奔走する松屋
なぜ、松屋はとりわけ苦戦を強いられているのでしょうか。そこには価格重視の戦略が潜んでいます。先ほどの意識調査で、牛丼店を選ぶ理由として「安い」と回答したのは、松屋が47.3%、すき家が48.8%、吉野家が41.1%で、松屋とすき家が僅差で並んでいます。
さらに「好きなメニューがある」と回答したのは、すき家が20.7%、松屋は14.4%でした。牛丼以外のメニューが豊富なすき家が高くなっています。
裏を返せば、メニューの豊富さに対して、すき家は安いと感じており、サービス力の高さが際立っていると受け取れます。松屋はどちらかというと、牛丼そのものに対する安さの表れです。実際、すき家の牛丼は350円、吉野家は352円、松屋はみそ汁がついて320円です(※全て並盛り価格)。