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有名ラーメン店の海外店長は29歳。流血沙汰に巻き込まれても「将来が楽しみ」

暮らし

ベトナム人と働く難しさは?

一燈

西家さんと坂本幸彦社長(2列目中央)

 実際にベトナムへ来てみて、何もかも自分で決めなければいけない分、当然ながら責任も感じるようになる。

「上の立場になって、以前の職場で上司が指導してくれたことがやっと理解できた」と西家さんは振り返る。

「日本では雇われの身だったので、誰かの指示で怒られたり、上席同士の方向性の違いで板挟みになったり……。メンタルが強くないと続けられない職場環境だったのですが、ベトナムでは自分が責任者なので、自分の判断で何でも決められることでかなり働きやすい環境になったと思います。

 飲食店の立ち上げは未経験でしたが、『一燈グループ』では海外出店の際は坂本幸彦社長自ら現地入りしてくれます。味の調整や調理法の確立、ラーメン屋としての心得や、社長がどういう気持ちでラーメンをお客様に出しているかを研修で教えてもらいました」

「ベトナム人と働くのは難しい」という話も聞いていた西家さん。当初は不安もあったが、スタッフにも恵まれ、大変な思いはしたことがないという。

「ただ、同時進行が苦手・したくない、人に怒られたくないという傾向の人が多いので、マニュアル作りが大事だと感じました。『焦らないようにこうやって準備しておくんだよ』と丁寧に伝えています」

プライベートでは道で殴られ、流血も

 ベトナムでの仕事は思いのほか順調だったようだ。しかし、プライベートで今までの生活では思いもよらなような事態にも直面。

「電圧が日本より強い(110-220V)のに日本のドライヤーを使ってドライヤーが燃えたり、デング熱にかかって7.5キロ痩せて坂も歩けなくなったり……。一番怖かったのは友人と遊んだ帰りの道中に話しながら歩いていたら突然『うるさい!』とベトナム人男性の2人組みに絡まれたことです。

 無視してタクシーに乗ったのですが、車を止めてきてドライバーさんもびっくりして車を置いて逃げて行ってしまって、僕たちだけ車中に残されて。逃げようとしたのですが、捕まって2、3発殴られ、落ちてた竹で頭を殴られて流血してしまい……。流血を見て向こうも正気に戻ってそれ以上は何もしてきませんでした。

 病院送りになりましたが、その後は何かが起こっても動じなくなりましたし、咄嗟の判断が早くなったと思います。誤解しないでいただきたいのですが、ベトナム人は基本的には親日の人が多いです。あの時は運が悪かったのだと思います」

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