柳葉敏郎が故郷・秋田に移住して思うこと「東京は“邪魔なもの”が多すぎる」 | bizSPA!フレッシュ

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柳葉敏郎が故郷・秋田に移住して思うこと「東京は“邪魔なもの”が多すぎる」

 路上パフォーマンス集団・劇男一世風靡から派生したユニット「一世風靡セピア」のメンバーとして人気者になり、『踊る大捜査線シリーズ』の室井慎次役などで知られる俳優の柳葉敏郎さん(60)。出演作のヒューマン医療ドラマ『いのちの停車場』が公開になります。

柳葉敏郎

柳葉敏郎さん

 本作で、都会で働き、故郷へと帰った元高級官僚の末期がん患者・宮嶋を演じた柳葉さん。自身も15年ほど前から故郷・秋田に居を構え、東京と行き来するスタイルを取っています。そんな柳葉さんに、役への思いだけでなく、帰郷を決めた理由や、20代読者にかけたい言葉を聞きました。

人としてあるべき姿を描いた映画

――心揺さぶられる作品でした。

柳葉敏郎(以下、柳葉):いや、本当に。自分で言うのもなんですが、完成した作品を観たとき、「なんていい映画なんだろう」と思ってね。人の気持ちが、純粋な気持ちが、それぞれの環境のなかできちんと表現されていて、人としてあるべき姿がものの見事に表現されている作品だと思いますね。

――柳葉さんは元官僚で末期がん患者の宮嶋役です。脚本を読んで、まず何を感じましたか?

柳葉:脚本の前に、まずタイトルですよね。「停車場」とは最近聞きなれない言葉だと思いますが、僕らが小さいころには、じいちゃん、ばあちゃんたちが駅のことを停車場と呼んでいました。今は情報がたくさんありますが、当時は駅に人が来て、人を見送ったり出迎えたりすると同時に、地域の人たちのコミュニケーションの場だった。その前に「命」というとてつもない言葉がつく。これはいったい何なんだろうと思いながら脚本を読みました。

――まさにコミュニケーションが描かれている物語です。

柳葉:今のような、溢れているけれども見えない情報ではなくて、人と人が触れ合うことで感じる情報といいますか。体感する情報を、しっかりと優しく繊細に描いている。そのひとつの駒として、頑張らなきゃいけないな、心のこもった人を表現しなくちゃいけないなという使命感を覚えましたね。

出演シーンは3場面のみ

いのちの停車場

(C) 2021「いのちの停車場」製作委員会

――宮嶋をどんな風に演じようと?

柳葉:僕の出演シーンは3場面しかないんですよ。その3シーンの中で、宮嶋という男の生きざまをすべて表現してほしいと、成島出監督に言われました。1シーン目は鎧をまとった宮嶋、2シーン目は、鎧を脱ぎ捨てた宮嶋、3シーン目はすべてを脱ぎ捨てた宮嶋。その生きざま、彼の一生をここで見せたいと。最後は「ありがとう」と「ごめんな」という気持ちで表現させてもらいました。

――父と息子の関係(確執)も描かれます。柳葉さんご自身、父親でもありますが、宮嶋に寄り添って何を思いましたか?

柳葉:こいつ、頑張ったんでしょうね。ものすごく。自分がやらなければという使命感を、必要以上に感じながら人生を送ってきたやつだと思うんです。おそらく親から、男はこうじゃなきゃいけねえと、何か課せられてきたのでしょう。

 そして“戦場”から離れたときに、やっと家族の愛情に目が向いた。きっと田舎から都会へ出てきて、そんな思いでやってきたんだろうなと。故郷が一番安心できる場所だったんでしょう。そこはすごく分かる気がするんです。宮嶋と自分は違うけれど、そこの思いに関しては、自分の気持ちを重ねてもいいのかなと思いながら演じました。

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