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「1日履いても疲れにくい」和洋折衷の雪駄スニーカーを生んだ2人の若手

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「1日履いても疲れない」の声も

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インタビューに応える大西氏、武内氏

 どういう人たちが実際に「unda-雲駄-」の購入しているのか聞くと、

「多くは30~40代の男性です。ここ最近ではファッションやSNSに敏感な20代の方も増えてきています」(大西氏)、「お祭り関係者や住職さんなど、普段から雪駄を履いている方からのご購入は意外でした」(武内氏)とのこと。

 購入者からは、

「普段から雪駄を履いていた方からは、『一日履いていても疲れない!』といったご意見をいただきました。毎日履いているからこそ雪駄との違いに気づいてもらえたみたいでとても嬉しかったです」(武内氏)

「『思っていたよりも重かった』というご意見もありますが、『この重さが良いね』と言ってくれる購入者もいるので重量に関しては賛否両論といったところです」(大西氏)

 といった声が寄せられたという。ただ「思っていたよりも重かった」という声に対応するため、「見た目はそのままに、アウトソールの素材・構造を根本から見直し再構築することで約25%の軽量化に成功しました」(武内氏)といったぐあいに、「unda-雲駄-」の軽量化モデルもリリースした。

「得意分野だからこそ楽しく」課題を解決

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Goyemon/unda-雲駄-

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Goyemon/unda-雲駄-

 このように“ありそうでなかったもの”を具現化する過程では、さまざまな課題や困難に直面するものだ。具体的にどうやって問題を解決してきたかを2人に訊ねると、こともなげに話してくれた。

とにかく僕たちは楽しんでものづくりをしています。好きなことを見つけ、それを活かせる土俵で事業を行うことが鍵だと思います」(大西氏)

「得意分野だからこそ楽しく取り組めるし、困難にも失敗を恐れず立ち向かえると思うんです」(武内氏)

「スムーズに製品化できたわけではありません。協力工場さんに“できない”と言われても、“どうしたらできるか?”を一緒になって考えました。職人さんのノウハウを聞きながら同時に方向性や解決策を考えていくようにしています」(大西氏)

ユーザーからの厳しい意見も裏を返せばニーズにつながると考えております。軽量化モデルがまさに良い例です。常に商品のアップデートをするためには、お客様の意見に耳を傾ける必要があります。goyemon直営店(※現在直営店は休業中。5月末再開予定)では僕たち自らが接客し、エンドユーザーとの直接的なコニュニケーションも大事にしています」(武内氏)

若い世代の後押しをするような活動を

 日本の伝統と最新技術を組み合わせた「unda-雲駄-」や「Fuwan-浮碗-」に続くプロジェクトについては、「goyemonで展開予定のアイテムは現在3、4件ほど進行中です。ワクワクするような魅力的なプロダクトを生み出すべく常に取り組んでいます」(大西氏)、「履物やグラス以外のアイテムも企画進行中です。幅広いプロダクトを展開する予定ですので楽しみにしていてください!」(武内氏)という。

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「いつもの日常に、革新的なベーシックを。」というスローガンを掲げる同社が目指すゴールを最後に聞いてみた。

「現代では多様化が進み、毎日たくさんの商品やサービスが生み出されています。短い間で大きく世の中が変わっていく現代だからこそ、常に新しい常識を提案し続けていくことが僕たちの目標です」(大西氏)

それはプロダクトだけではなく、空間やサービスなど多岐にわたることだと思っています。変わりゆく世の中に合わせて、ちょっと未来の暮らしを提案する。そんなクリエイティブを生み出していきたいです」(武内氏)

「それに加えて、若い世代の挑戦を後押しするような活動もしていきたいです。僕たち自身、クラウドファンディングを通して事業を起こすことができました。その経験を活かしてこれから踏み出そうとしている方々の役に立ちたいと考えております」(大西氏)

 伝統産業衰退への危機感から生まれた和洋折衷の雪駄スニーカー。開発者である2人の思いは今後も受け継がれていくだろう。

<取材・文/6PAC>

コメディとゴスペルとマタドールを愛する自由人。個人事業の開業届は文筆業

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