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「コクとキレ」って本当はどんな意味?「本麒麟」開発の味のプロに聞く

 ビールを飲む人なら、一度は使ったことがある「キレ」や「コク」といった言葉。「このビール、キレがいいね」「コクがあるビールが飲みたいな」のように、お酒を飲んだ時の表現というのはざっくりわかっていますが、具体的にどんな味わいを表しているのでしょうか?

ビール

※イメージです

「とりあえず美味しいでええやろ!」という意見も聞こえてきそうですが、さまざまなビール類が発売されている昨今、ビール各社のプレスリリースにも「コク」「キレ」といった表現は見受けられます。

<「本麒麟」は、新ジャンル商品でありながら、ビールに期待される“力強いコクと飲みごたえ”のある本格的なうまさを実現した商品です>(キリンビール、プレスリリースより)

<「スーパードライ」は、1987年の発売以来“さらりとした飲み口、キレ味さえる辛口の生ビール”をコンセプトに品質向上へ向けた挑戦を積み重ねてきました>(アサヒビール、プレスリリースより)

 こんな素朴な疑問を、今回、キリンビール株式会社マーケティング本部で、ビール類の中味開発を担当している大橋優隆さんにぶつけてみました。大橋さんは、江口洋介さんや杏さん、市川猿之助さんが出演するCMでもおなじみ「本麒麟」の味の開発担当で、いわばビール類の味のプロ。今回はこれらの定義と、大ヒット中の本麒麟リニューアルの秘密について教えてもらいました。

ビールのジャンルはどう決まるのか

 コクとキレについて説明をしてもらう前に、ビール・発泡酒・第三のビール(新ジャンル)の違いってそもそも何なのでしょうか? 大橋さんによれば、どうやら「麦芽の使用比率で決まってくる」そうです。

麦芽の使用量が50%以上のお酒というのが、ビールに分類される条件のひとつ。そこから、麦芽、副原料や酵母にどんな物を使うか、醸造時の温度や熟成にかける時間など、いわば無限にある条件の組み合わせで味わいが決まります。ただ最近は技術革新もあって、ジャンルごとの味わいの差は、ほとんどなくなってきています」

 実際、本麒麟の開発時に行ったブラインドテスト(商品名やジャンルを隠してモニターに飲んでもらうテスト)では「これ、ビールじゃないの?」という声もあったとか。

肝心のコクとキレの定義とは

キリンビール

キリンビールの大橋優隆さん

 では、肝心のコクとキレについて。大橋さんは「実は、そこまで明確な定義がない」と前置きした上で、コクの正体について、次のように語ります。

コクというのは、2つ以上の味が重なってできる複雑さ、味の厚さのことだと思ってください。私たちは基本五味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)をイメージしていますが、このなかの酸味と甘味や、塩味と苦味とが重なり合ったりしてできる、味のふくよかさをコクだと考えています」

 なるほど! つまり、さまざまな原材料が複合した結果、味がより深く、濃くなってできるものがコクの正体なんですね。では、キレというのは一体何なのでしょうか?

キレというのは、味の抑揚のことだと考えてください。先ほど説明したふくよかな味わいも、スッと後を引かず、口の中に残ってしまうと、ダレてしまい、重さやもたつきを感じてしまいます。口の中で味わいが広がった後、苦味や酸味による締まりが適度に味のボリュームを抑えていく、これがキレです。そのあとホップの爽やかな香りなどが余韻として残るのもビール類のおいしさですね」

 キレというのは、すっと消える後味のことだった。「コク=味の深さ、濃さ」「キレ=後味の抑揚」。これさえ理解しておけば、もっとビールを美味しく感じられそうです!

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