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「コクとキレ」って本当はどんな意味?「本麒麟」開発の味のプロに聞く

暮らし

ほぼ転職に近かったキャリア

キリンビール

新ジャンルで好調な本麒麟

 そんな大橋さんですが、2010年にキリンビールに入社。工場で品質保証、醸造エネルギー担当を経て、2015年にマーケティング部署に異動。2016年に「47都道府県の一番搾り」(現在は販売終了)、翌年には「一番搾り」のリニューアルなどに携わり、2018年からはマーケティング本部の商品開発研究所で本麒麟などのヒット商品を手掛けています。

「マーケティングへの異動は社内の公募制度でした。飲料メーカーに入社したからにはいつか商品開発に携わりたかったため、念願でした。マーケッターは未経験だったので、ほぼ転職に近い状況でした。そんな中で、どのようなニーズがあるのか、お客様がどこに価値を置いているのか。いわば商品開発の“源流”を意識していました」

 キャリアのなかでも特に印象深かったと本人が語るのが、前出の「47都道府県の一番搾り」キャンペーン。このときの反響はものすごく、目標の2倍以上である270万箱(大びん換算)を初年度に出荷。SNSでも大いにバズったそうです。

「これまでの“とりあえずビール”といった均質的なイメージから、もっとお客様に寄り添ったビールを作り出せないかと思っていました。各都道府県のお客様の声を集約するのは大変でしたが、お客様から『地元に脚光を浴びさせてくれてありがとう』と言われ、涙が出そうなくらい嬉しかったですね

絶好調だからこそのリニューアル

キリンビール

 そんな大橋さんが現在、中味の開発を担当しているのが本麒麟。発売たった2年で累計10億本出荷(350ml缶換算)と絶好調ですが、2021年1月製造分からは大幅なリニューアルも行われたようです。……でも、なんで売上絶好調なのにわざわざリニューアルしたの?

「本麒麟の中味開発は、“お客様の一番うまい”を目指して始まりましたが、日々楽しんでいただく新ジャンルだからこそ、飲み飽きない味わいも目指しています。お客様の美味しいという基準は常に変化しているからこそ、発売以来、毎年のリニューアルを重ね、お客様の理想を求めています」

 実は2021年だけでなく、発売から3年連続でリニューアルしていたとは! では、2021年のリニューアルでどう変化したのでしょうか。

「2021年のリニューアルでは、コクにフォーカスしました。ドイツ産ホップと大麦を増やしたことで、麦のうまみと上質な苦味、爽やかな香りによって、コクが高まりながらも後キレが良く飲み飽きない味わいに仕上がりました。絶好調だからこそのリニューアルで、さらに“完成度の高いうまさ”を実現できたと自負しています」

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