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コメダ珈琲が絶好調。ドトールとサンマルクに圧倒的勝利の理由

ビジネス

リピーターが多い店がコロナ禍で強い理由

 緊急事態宣言という未曽有の危機下でも、加盟店オーナーの解約を食い止めた理由は大きく2つあると考えられます。1つは他店と比較して客単価が高く、客数が減少しても売上減に繋がりにくかったこと。もう1つはコメダにはリピーターが多く、大幅な客離れが起きにくかったことです

 コメダのブレンドコーヒーは1杯430円。ドトールは220円。客単価はコメダが700円、ドトールは400円ほどです。コメダは居心地の良い空間で滞在時間を長くし、満足度を上げて客単価で稼ぐビジネス。ドトールやサンマルクは低単価の商品で客数を稼ぐビジネスです。

 ビジネスモデルの違いは月次売上によく表れています。

コメダ ドトール サンマルク

 コメダの月次売上は緊急事態宣言下の2020年4月でも前年比53.1%となっています。上期で80%を超え、下期は96.2%と平常時の水準まで回復しました。ドトール、コメダは下期も70%台に留まりました。

 ドトールやサンマルクは駅前などの繁華街に1階、2階席を設ける大型店を得意としています。一方、コメダは駅から離れた場所やロードサイドなど、集客には不利な立地に出店しています。これは加盟店オーナーの家賃負担を軽くして経営を安定させる狙いがあります。立地が悪いために集客がしにくくなりますが、居心地の良さを追求したコメダはリピーターを獲得することに成功しました

ロードサイド型と都市型を比較してみる

 そこで、客単価と回転数、リピーターが店舗の売上にどのような影響を与えるのか、シミュレーションをしてみます。

 コメダが得意とするロードサイド型120席のカフェAと、ドトールに多い都市型120席のカフェBを想定します。カフェAは1日に1.5回転、カフェBは2.7回転します。Aの客単価は700円、Bの客単価は400円です。月商はAが378万円、Bが389万円となります。平時は売上に大きな違いはありません。

 1日の客数はAが180人、Bが324人です。月間の客数はAが5400人、Bが9720人となります。客数には大きな違いが出ていますが、客単価でそれをカバーしています。

 客数にリピーターを入れます。Aは新規客が全客数の20%、月に平均2.5回来店するリピーターが80%だとします。Bはその逆で新規客が全体の80%、リピーターが20%だったと仮定します。

コメダ ドトール サンマルク

 新型コロナウイルスの感染拡大で、繁華街から人が消えました。駅前の新規集客型店舗は大打撃となります。一方、リモートワークの推進で地元消費志向が高まります。ロードサイドのような地域密着型が有利となりました。仮にコロナによってA、Bともに新規客が70%減少し、リピーターが20%減少したとすると、AとBのカフェの売上はどうなるでしょうか

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