20代の転職、コロナ不況でも採用される人・されない人の格差事情
新型コロナウイルス感染拡大によるリストラや経営不振などのニュースが連日報道されている。帝国データバンクの調査によると、コロナ関連の倒産(法人および個人事業主)は全国に1401件判明している(4月30日16時時点)。
そんななかで、もともと転職活動をしていた人も、コロナを機に転職を検討しはじめた人も、どのタイミングで転職をしたらいいのか不安に感じているのではないだろうか?
株式会社アトラエが運営するIT人材に特化した転職サイト「Green(グリーン)」マーケティング担当の井端康さんに、コロナ禍における転職市場と求められる人材の変化、そして転職する際に注意しておくべきことを詳しく解説してもらった。
即戦力となる20代後半から30代が人気
井端さんによれば「2020年、IT業界の求人は減少したものの、2021年の明けからは回復傾向にあります。今後は業界に限らず、ITスキルを持つ一部の人材にニーズが集中するのではないか」という。
実際の雇用者数を見ても、総務省が2020年2月に発表した労働力調査では「宿泊、飲食サービス業」や「製造業」が大きく減少している一方で、「医療、福祉」「情報通信業(IT)」は増加傾向にあり、業界ごとに需要の有無に差がある様子。
しかし、その一方で、研修や教育の時間・予算を抑制するため、“即戦力になる優秀な人材”だけを採用したい企業が増えているという。
「育成期間が必要な20~25歳のジュニア層より、実務経験がありマネジメントもできる20代後半から30代のミドル層を採用したいという声をよく聞くようになりました。つまり育成を前提に置かず、事業を中長期的に伸ばすためにどのような戦略が必要なのかを、上流から設計し、すぐ行動に移せる人が求められているのです」
実績がない人は「副業」が活かせる場合も
「その一方、このところ異業種からIT業界に転職するために、プログラミングやウェブデザインのキャリアスクール出身者が転職市場に増えてきているのですが、彼らは実績がないため、思っているほど需要は高くない。正直、書類で落とされてしまう場合がほとんどですね」
では、彼らのような“即戦力”ではない人が転職を成功させるためにはどうすればいいのだろうか。井端さんは「副業の経験が生かせることもある」とアドバイスする。
「関わっていたプロジェクトの内容にもよりますが、職務経歴書に副業の実績を書くのもひとつの手。内容そのものだけでなく、空いている時間も仕事に積極的な姿勢はプラスに働く場合があります。また、副業先に働く姿を買われ、副業していた企業に転職している例も少なくありません」