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近大生のクラウドファンディング、なぜ炎上した?運営側にも問題が

マネー

クラウドファンディングは「寄付」ではない

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2万円(一口の最高額)を支援したパトロンが得られる「リターン」の内容(※一部画像を加工しています)

――そもそもの誤解が生まれた原因は、どういったところだと思われますか?

板越:1つは、ファンディングという言葉の意味合い、すなわち「投資」という言葉そのままに受け止められているという背景があるのではないでしょうか。そして、もう1つが重要なのですが、日本でクラウドファンディングが広まり始めた時期も大きく関わっていると思っています。

 さまざまなクラウドファンディングサービスがある中で、今回の事件でも取り上げられた「CAMPFIRE」などが相次いで日本国内でローンチ(稼働)したのが2011年でした。

 ちょうど東日本大震災が発生した年だったのですが、その時期は、復興支援などを目的に活用される事例が目立ったんですね。もちろんそれ自体が誰かへ貢献している以上は悪いことではないのですが、先行していたアメリカでは「購入型」が一般的であったものの、日本には「寄付」という意味合いが結果として伝わってしまったんだと思います。

――日本に先立ち、クラウドファンディングが定着したアメリカの事情はどうなっているのでしょうか?

板越:そもそもの解釈として、「クラウド(=Crowd)」は群衆、「ファンディング(=Funding)」は資金調達を表す造語です。そういった意味では、群衆からお金を集めるというのは、独立運動を支援するフランス人の募金によって「自由の女神」が建てられたように、昔からあります。

 その後、インターネットの普及により専門サイトが現れました。その多くは、何らかのモノで返すという「購入型」のタイプとして広まっていったため、アメリカでは「ECサイト」や「事前購入サイト」と呼ばれる場合も多く、「ショッピングサイト」と同等の扱われ方をされています。

 アイデアを売るというきっかけになったなかでは、有名な話では大手の「Kickstarter」で2014年に投稿された「ポテトサラダ・プロジェクト」がよく取り上げられる事例です。一種のジョークなのですが、出資金額に応じて「ポテトサラダを上手く作ります」「一口差し上げます」などの内容がウケて、5万ドル以上の資金が集まりました。

近畿大学生のクラウドファンディング炎上の原因は?

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※画像はイメージです(以下、同じ)

――本来、クラウドファンディングにはどういった意義や役割があるのでしょうか?

板越:世の中にないものを先取りして、不特定多数の人たちへ届けられるというのが大きなメリットのひとつだと思います。何か大きなプロジェクトを遂行するためには、お金が必要だというのも世の常です。

 しかしそれを銀行や投資家からではなく、不特定多数の人たちから集められることの意義は、言うまでもありません。ただ、見知らぬ誰かから資金を募る上では、それぞれの“人となり”がみられるという認識がいまだ不十分な気もします。

――それぞれの“人となり”がみられるとは、どういったことなのでしょうか?

板越:プロジェクトが成功するか否かの鍵を握るのは、資金を募る人たちの「ストーリー性」と「共感性」なんですよ。フィリピンのスラム街へ行こうとした大学生たちの事例では、その背景として、彼らが現地とどんな関係があるのかが見えなかったのも炎上した原因だと思っているんです。

 例えば、前提として昔からフィリピンの問題に対してSNSで言及していたり、問題意識を持っているなどがあったなら、このような事態にならなかったのではないかとも思います。

 僕もよく相談を受けるんですが、例えば、以前「カンボジアに行って、子どもたちに笑顔を届けたい」といってクラウドファンディングを検討していた学生に「君とカンボジアとどんな関係があるの?」と聞き返したこともありました。

 投資が根づいているアメリカでは、人であってもモノであってもその背景を事前に調べるという文化が比較的習慣づいているようにみえますが、日本国内ではまだ浸透していないように思えます。