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LINEの「個人情報の取り扱い」がここまで問題視される理由

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“実質フリーハンド”のままでいいのか

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 自己決定権に関する議論の最先進地であるヨーロッパにおいては、EU(欧州連合)の枠組みのもとで「GDPR(一般データ保護規則)」が作られ、デジタル空間におけるプライバシーの尊重が図られた。日本においても、個人情報保護法はその基本理念として「個人の人格尊重」を謳っており、そこまで大きく遅れを取っているわけではない。

 しかし企業のプライバシーポリシーは、多くの場合、ユーザーの自己決定を後押しするようにはなっていない。LINEは今般の問題につき「プライバシーポリシーがわかりにくかった」と認めたが、その基準に照らせば、明快なプライバシーポリシーを持っている事業者自体が少数となる

 ともすれば、現代の複雑化した「サービス利用規約」の条文が、結果として企業の側にフリーハンドを与えてはいないだろうか。LINEをはじめとする情報企業には今後、ユーザーの「しないでほしい」という声にも真摯に答える、魅力的なポリシーを提示していく必要が生じそうだ。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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