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約半数が「暇人化」するテレワーカーの残念な実態。デイトレ、転職活動etc.

ビジネス

なぜテレワーク暇人は生まれてしまうのか?

 暇すぎる仕事に危機感を覚えた人は、こんな行動に出ているケースも……。

「転職活動を始めました。仕事しつつ時間が来たらオンラインで面接。たまにリアルの面接が入ったときは、スマホから会社のパソコンをオンラインにして臨みました。少しでもログアウトすると会社に仕事をしていないことがバレるので。無事転職先が決まり、会社への退職願はテレワークなので電話で伝えて、上司に『テレワークで引き継ぎも満足にできないのに辞めるのってどうなの?』と嫌みを言われましたが後悔はないです」(男性・35歳・不動産営業)

 なぜテレワーク暇人は生まれてしまうのか? 要因のひとつに勤怠管理のユルさがあるようだ。

「働く日にまとめて働いて、他の日はさもやっていたかのように成果を報告して調整してます」(男性・26歳・SE)

今はビジネスチャットで、毎朝8時に『仕事始めます』、昼に『休憩入ります』、17時に『終わりました』と連絡し、形だけの予定表を提出するような日々を送っています。突然ヘルプで呼ばれるときがあるのでパソコンの前にはいますが、朝から酒を飲んでいた日もありましたね」(男性・41歳・プログラマー)

テレワーク専門家「長年の懸念でした」

田澤由利氏

田澤由利氏

 2008年からテレワーク支援を行うテレワークマネジメント代表の田澤由利氏は、テレワーク暇人について「長年の懸念でした」と肩を落とす。

「大前提として勤務時間中に業務外のことをやるのはいけないことです。ですが、人間怠けてしまうもので一概に個人が悪いとは言えないと思います。そうならないように社員を管理するのは会社の役目。現状では、テレワークだからマネジメントできないと諦めている企業が多く、テレワーク暇人を生む一方で、残業代を出さずに働かせることもあります。

 仕事の成果のみを評価したり、勤務時間のみを管理したりするだけでは、この問題は解決しません。例えばバーチャルオフィスなどのツールを活用して、仕事の中身や進捗も見える化させることが必要です。働く人も、この状況に甘えていると、いずれ『出社せよ』にもなりかねません」

 テレワーク暇人でいられるのは今のうちかもしれない。

<取材・文・撮影/高田彰吾 桜井カズキ 松本果歩 ツマミ具依>

【田澤由利】
テレワークマネジメント代表取締役・’08年、同社設立。企業や自治体のテレワーク支援や普及事業を実施。総務省地域情報化アドバイザーでコロナ禍の政策検討会議に参画

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