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菅首相長男の接待報道、文春にタダ乗りする他メディアの情けなさ

ビジネス

もとは総務大臣秘書官だった正剛氏

菅義偉首相

※首相官邸HPより

 この問題については、あちこちでいろんな事実が出ているので繰り返しになりますが、まず正剛氏はそもそも菅首相が総務大臣だったころに秘書官に任命されています。このときは税金で給料をもらう立場になっていたわけですけど、その後に東北新社に入社しています。

 この東北新社がどういう会社かというと、創業者・植村伴次郎氏は秋田県出身で、菅首相も尊敬している地元の先輩。さらに2020年に他界した元社長の植村徹氏(伴次郎氏の長男)は菅首相を応援して献金していた人物です。2019年からは伴次郎氏の娘婿である二宮清隆氏が社長になっていますが、今回の件で引責辞任しています。

 正剛氏が入社したのは植村伴次郎氏が社長のときでした。正剛氏は、総務大臣秘書官をやったのちに東北新社に入り、総務省の担当になります。当時、父親は元総務大臣の官房長官です。東北新社はいろいろな広告などをやっているなかで、衛星チャンネルを持っている会社です。そこで、正剛氏は総務省との接待を30回以上仕切っていきます。その中には当時の二宮社長(当時)だったり、上層部が出席する場面もかなりあったと。

なぜ東北新社は官僚を接待したのか

 なんで東北新社が総務省を接待する必要があったのか。ここがポイントなんですけど、総務省は放送免許を統括しています。東北新社は衛星チャンネルを持っていて、正剛氏が関わっているのは、そのうちの一部である「スターチャンネル」や「囲碁将棋チャンネル」です。こういった衛星放送の許可を総務省が出していて、使う帯域だったり、ハイビジョン化を進めている中でその資格があるのかを許諾しているのです。

 囲碁将棋チャンネルは2018年、CS放送業務として認定された12社16番組のうち、唯一ハイビジョン未対応のまま許諾を得ています。総務省は放送免許の許諾の権利を握っているため、実を言うと日本のあらゆるテレビ局の社長よりも上の立場にいると言えます。ここは日本のメディア空間のいびつだということにも繋がってきます。

 メディアの役割について「権力の監視」だと説明することが多いんですが、世界でも珍しく、日本はテレビメディア放送の許諾権を政府が持っているのです。つまり、政府により首に縄が付けられている。その上で、権力監視をメディアはどこまでできるのか。これがまず大前提となります。

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