サウナにマスクは必要か?コロナ禍の「サウナ道」を医師が解説
もはやブームと呼ぶことに違和感を覚えるほど、サウナは現代人の生活に定着した。「サウナー」「ロウリュ」「ととのう」などの用語も定着し、愛好家の裾野は今なお拡大中だ。
サウナ正しい入り方や健康効果についての記事は少なくないが、「ととのう」ことの効能やこの時期の注意点やなど、改めて確認しておきたい。「やちよ総合医療クリニック」総合診療医の沖一匡医師に聞いた。
戦いながらリラックスしている状態
焼けつくような熱波を全身に浴び、朦朧とした頭で逃げるように室外へ。キンキンに冷えた水風呂へと身体を沈めベンチで休息すれば、次第に悟りにも似た深いリラックス状態へと全身が包まれる。これぞサウナの醍醐味だが、こうした「ととのう」状態とは医学的に見て、どのような状態なのだろうか。
「一言で言えば、『サウナ後の心身ともに非常に調子がいいと感じられる状態』と定義できるでしょう。日本サウナ学会代表理事で医師の加藤容崇氏によれば、『交感神経と副交感神経が共存している状態』とされています」(沖医師、以下同)
人間の体内は自律神経によって支配されているが、自律神経は交感神経と副交感神経の2種類がある。交感神経とは「戦い、緊張」の際に発揮される神経で、一方の副交感神経は「リラックス、休憩」の時に活発に働く。
通常は両者が共存することはあり得ないのだが、サウナの熱気と水風呂の冷気によって身体に強い緊張状態を与え、直後、外気浴でリラックスすることで、「戦いながらリラックスする」という特別な世界へとトリップできるのだ。
入浴前にはコップ2杯分の水分を
「ととのう」を求めて己の限界まで熱波や水風呂に耐える人もいるだろう。だが、医学的には“ほどほど”にしておくのが賢明らしい。
「長時間サウナに入ると脱水症の恐れがあるため、おすすめできません。100度のドライサウナに10分間入浴した場合、およそ500ミリリットル発汗します。入浴前にはコップ2杯分の水分を摂り、その後もこまめに休憩・水分補給を行なってください」
サウナ→水風呂→外気浴という基本サイクルを無理のない範囲で繰り返すのが、ととのうコツだという。