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元GMO受付嬢が30代で起業。11年の接客経験は「シビアな世界」

ビジネス

 同じ仕事を続けていくと、自分のキャリアを見つめ直すタイミングが来る。特に同じ業務の繰り返しになると、今のままでいいのだろうかと悩み立ち止まってしまうもの。

 受付嬢として11年間働いていた橋本真里子さんは、32歳のとき「今までのキャリアを活かして世の中をもっと便利にしたい」と起業を決意。累計120万回もの受付経験をもとに、内線電話を使用しないクラウド受付システム「RECEPTIONIST」を開発。起業から5年で導入企業数は3500社を突破した。

レセプショニスト

株式会社RECEPTIONIST橋本真里子さん(代表取締役CEO)

 同サービスは三井不動産や丸井グループなど、有名企業も利用する満足度ナンバーワンの受付システムにまで成長した。受付嬢から経営者へ――大きくキャリアチェンジした彼女に、起業の背景や仕事に対する思いを聞いた。

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GMOインターネットグループで受付をしていたときの橋本さん(左から3番目)。のちにグループ会社が「RECEPTIONIST」を導入

優秀な受付嬢は裏方業務で差が出る

 橋本さんの大学生時代は就職氷河期。就職活動をしても正社員採用が難しいと判断し、派遣の求人で見つけたのが受付だったという。

職種自体に興味がありましたし、ビジネスマナーも身につけられそうだったので働いてみることに。実際に業務をしてみると、受付の仕事は自分に合っていて天職だと思いました」

 受付の仕事は来客の対応や会議室の予約などがイメージされるが、実はそれはほんの一部。従業員が見えないところで多岐にわたる業務が発生している。

「受付は基本的に、従業員や来社された方が気持ちよく会議や打ち合わせに入るための調整が主な業務。たとえば『会議室を使いたい』と言われたら、まずは予約をし、掃除をして飲み物を用意します。もし予約を依頼してきた従業員がよく時間をオーバーする方だったら、予約時間を多めに取っておき、前後の予定を調整したりもします」

更新は3か月ごと。受付はシビアな世界

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「お客様に出すお茶やお菓子の補充や発注も。みなさんに見られるところをきちんと対応するのは当たり前なので、裏方の作業をいかに的確に対応できるかで、受付としての評価が決まると言っても過言ではありません

 受付としての評価が高くなると、指名で重役の会議の調整や大口顧客の対応を任されるようになる。受付の更新は基本3か月ごと。裏方業務を疎かにし、従業員と衝突して信頼を損なう対応を重ねると、契約を切られてしまうこともあるシビアな世界だ。

 橋本さんは11年間、大手IT企業を中心に5社で120万回以上の受付経験を重ね、リーダーとして受付の中心を担っていた。しかし、30歳をすぎた頃、「長く続けられる仕事ではない」と新たなキャリアを模索し始める。

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