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オードリーも出演「関東芸人の聖地」がコロナで存続の危機。管理人が語る、逆転の一手

暮らし

「思い出として語るのにちょうどいい場所」

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西武新宿線沼袋駅より南へ徒歩10分のところにある

 なぜ中野twlはここまで芸人たちに愛されているのか。その要因を、布施さんは「苦労をして売れたからこそ、人の気持ちがわかるから」と語ります。

「若手芸人って、本当にひどい目にあうんです。例えばテレビの前説に行ったとしても、人として扱ってもらえなかったりする。だからこそ最初に出た劇場を大事にしていただいているのかな、と思うこともあります。

 あと、これは個人的な意見ですが、売れている人から見ると、思い出として語るのにちょうどいい劇場だと思うんです。駅からも遠くて、靴も脱がなくてはいけなくて、トイレも舞台袖に1個しかなくてお客さんと共用です。昔、こんな劇場に出ていたと思い出に語るのにちょうどいい劇場なんじゃないかと思うこともあります」

 しかし、現在は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で厳しい状況にあります。

「新型コロナウイルスが流行する前の5分の1くらいの売り上げです。劇場の規模からして、対策の面でもなかなか難しい。仮に安全対策を取っていたとしても、借りてイベントをする人にも風評被害など、リスクがあります。また、大学のサークルで芸人をやっている学生芸人さんが借りてくれることも多いのですが、何かあったときに責任をとれないと、現在は大学側から止められているそうです」

笑いを届ける場所をなくしたくない

中野twlクラウドファンディングページ

クラウドファンディングページ ※CAMPFIREより

 そうした中で、布施さんは“逆転の一手”としてクラウドファンディングを行う決断をしました。布施さんは「正直に言えば、こんなにコロナ禍が長引くとは思っていませんでした」と、苦しい胸の内を明かします。

「お客さんが来なくても、休業していても、テナント料や光熱費はかかります。当初の予算だと、21年初頭持つかどうかという状況でした。いよいよ限界が来て、代表から打診があり、クラウドファンディングを始めることにしました。2020年12月11日から始めたのですが、まさかまた緊急事態宣言が出るとは思っていませんでした

 これまでクラウドファンディングでは300人近い支援者や応援のメッセージが届いています。

「クラウドファンディングを始めたときは誰も応援してくれないんじゃないかと思っていたんです。今は劇場もたくさんあるし、中野twlがなくなったところで……と。でもTwitterでリツイートしてくれる方もいましたし、劇場を使ってくれる方もいて、本当にうれしかったです」

 集まった金額は記事執筆1月21日時点で307万8000円。目標金額(500万円)まで、あと200万円弱です。

「コロナがいつ収まるかもわかりませんが、やれるだけのことをやろうという気持ちです。ただ、これまで21年間で中野twlに出演してくれた数々の芸人さんがテレビの人気者になった。そういった方々が出演した場所を閉鎖してしまうのは無念です。また、暗い話題が続く世の中で、笑いを届ける場所がなくしたくないという思いもあります。いただいた支援で運営の持続、今後のための映像配信の設備投資などができればと考えています」

<取材・文/柳洋>

編集者・ライター。1993年生まれ。フリーランスを経て、出版社に勤務。Web記事や書評を中心に編集・執筆をしています

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