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『島耕作』作者が語る働き方「寄り道に見えてもムダじゃない」<弘兼憲史×山口周>

ビジネス

 コロナ禍で社会が変わるなか、多くの人が「新しい働き方」を模索している。そこで今回、会社員のバイブル『課長 島耕作』シリーズの作者である弘兼憲史氏と、著書『ニュータイプの時代』などで次世代のビジネスマンの働き方を提案するパブリックスピーカーの山口周氏に対談してもらった。

対談

独立研究者・山口周氏(左)、漫画家・弘兼憲史氏

 長年日本人の働き方を模索するご両人に、新卒入社した会社で定年までがむしゃらに働けばいいという時代が終わりを迎えたいま、これからの会社との関わり方を聞いた。

「働くって何?」新旧の価値観

弘兼憲史(以下、弘兼):日本企業に長年息づく大きな特徴といえば、終身雇用と大企業信仰ですよね。僕は小さい頃から「漫画を描く」のが夢だったけど、親から「勉強して、いい大学に入って、いい会社に入って、定年まで勤めれば一生安泰だ。漫画は趣味でいい」と言われ続け、1970年に松下電器(現パナソニック)に入社しました。結局、3年で辞めましたが。

山口周(以下、山口):1970年に大手家電メーカーに入社した島耕作は、まさに先生の分身のような存在ですね。

弘兼:僕らの世代は、高度経済成長を支えた「モーレツ社員」の下の世代なんです。その頃から出世するだけの人生ではなく、地に足のついた小さな幸せも肯定する動きが出てきて。富士ゼロックスの「モーレツからビューティフルへ」というキャッチコピーも話題になりました。

学歴主義や大企業信仰は幻想に

弘兼憲史氏

漫画家・弘兼憲史氏

山口:私は高校時代に『島耕作』を読みましたが、「大企業の社員って、キレイなお姉さんに助けられていいなぁ」と強く思いました(笑)。

弘兼:会社員は楽しそうって思ったでしょ? ただ、当時と違って、いまは大企業でも安泰ではないですよね。僕が入社した頃には勢いがあった三洋電機のような大手企業も、吸収合併されましたし。

山口:学歴主義や大企業信仰はもはや幻想になりつつありますね。もっとも、いまだその幻想を信じる人も少なくないですし、子供にはできるかぎり良い大学を出てほしいと願う親は多いです。

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