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『島耕作』作者が語る働き方「寄り道に見えてもムダじゃない」<弘兼憲史×山口周>

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山口周「キャリアは掛け算」

山口周氏

独立研究者・山口周氏

弘兼:僕自身、松下電器に勤めた3年間は、単なる寄り道ではありませんでした。あのときに得た知識や人脈のおかげで、世の会社員に共感される『島耕作』を描けたと思います。

山口:私は常々「キャリアは掛け算だ」と言っているのですが、時代に関係なく、自分の経歴を組み合わせると、人に負けないユニークな部分が見つかるものです。弘兼先生もまさにそうですよね。

弘兼:確かに当時の漫画家さんには、僕以外に大企業出身者はほぼいませんでした。だからこそリアルを描くことができた。

ニッチな武器が強みに繋がる

山口:私の場合も、大学で美術史や哲学を学んだ後、30歳まで電通に勤め、その後は外資系コンサルタントとして働いているんです。コンサルの母数は多いですが、実は美術や哲学を学んだ人は非常にレアなんです。掛け算の末に生まれたニッチな武器が、自分の強みに繋がるのかなと思います。

弘兼:家族を抱えていたりすると動けない部分もあるかもしれないけど、ネットのおかげで以前よりも自分のアイデアが簡単に実現できる時代になった。そのアイデアの原石は無限に転がっていると僕は思います。

山口:好きなことをやるからといって、無理に目の前にあるものを切り捨てる必要はないですからね。いま自分がぶら下がっている木はなるべく離さないほうがいい。まずは会社に在籍しつつ、副業でやりたいことに挑戦してほしいです。好きなことなら対価がなくても趣味感覚で夢中になれるし、運が良ければそれで食べていけることもあるんですから。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

【弘兼憲史】
漫画家。1947年、山口県生まれ。’70年に松下電器に入社し、3年後に退社。『課長 島耕作』などのヒット作を発表。近著に『弘兼流 60代からピンピン生きる方法』(三笠書房)など

【山口 周】
独立研究者。1970年、東京都生まれ。独立研究者、パブリックスピーカー。電通やボストンコンサルティングなどで戦略策定、組織開発に従事。近著に『ビジネスの未来』(プレジデント社)

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