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誘いを断れない。繊細すぎる28歳の「鬼滅式ライフハック」

学び

 今、「繊細さん」と呼ばれる人を扱った関連本が売れている。長年、多くの日本人が繊細さから生きづらさを感じていた原因が「HSP」という気質だと判明したのだ。繊細すぎては生きづらい世の中で編み出した「繊細さとの折り合いのつけ方」を当事者たちに聞いてみた。

ビジネス 悩み

※イメージです

※HSP(Highly Sensitive Person)…「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略。感覚から得た情報を処理する神経が敏感で、刺激や他人の感情に過敏に反応する特性を持つ人を指す言葉として話題に。’96年、アメリカの心理学者、エイレン・N・アーロン氏が提唱したことで認知された。

ルールを細かく決め、葛藤疲れとオサラバ

「職場の電話が鳴るたびに『僕が出るべきか』と悩み、上司への質問が浮かぶたびに『今相談すべきか』と悩み、食事の誘いがあるたびに『行くべきか』と悩む。1日に200回以上は自問自答してました

 葛藤の連続で疲弊しきっていた秋吉幸生さん(仮名・28歳)。そんな彼の繊細ライフハックが生まれたのは、『鬼滅の刃』のキャラクターが、投げたコインの表裏によってその後取る行動を決めている姿を見たときだった。

「毎回コインを投げるわけにはいかないですが、僕もマイルールを決めてそれに従うことにしました。電話に出るのは3回に1回。質問が10分で解決しなかったら上司に相談に行く。食事の誘いは偶数日なら行く……こんな感じで、葛藤していた物ごとに基準をつくったんです。これで随分とラクになりました。ルールが増え続けて覚えられなくなっているのが難点ですが……」

HSP

彼のスマホに記されたマイルールは現在45個

 柔軟性に欠け、たまに怒られる可能性はあるが、ラクになるならマシか。

1週間前から気が張ってグッタリ

 しんどい仕事の翌日に半休や有休を取って休養にあてる人は多い。

「取引先へのプレゼンが決まると1週間前から気が張り詰め、翌日は起き上がれないほどグッタリする」と語る松田典子さん(仮名・35歳)もそのひとりだが、最近は「楽しい予定の後にも休養日をつくること」を徹底しているとか。

HSP

細かく書かれた手帳を見ると、あえて予定を入れない日が多数。最近は上司の「また有休!?」という目も新たなストレスの種だとか

「仕事で息が詰まりやすいぶん、以前は『週末こそパーッと遊んで息抜きしなければ』という強迫観念に囚われていて。友達と会ったり、旅行に行けばすごく楽しいし、リフレッシュもできますが、そこでまたグッタリしてしまって週明けの仕事がうまくこなせないことが続いて……。

 30代になってようやく『楽しいことも仕事と同じくらい刺激が強い』ということに気づいたんです。刺激に敏感な繊細さんはこれくらい意図的に安らげる時間を取るべき。じゃないと死んじゃう!」

 今年度の有休はあと1日だという松田さん。その使いどころに悩みすぎてグッタリしないことを祈るばかりだ。

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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