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「野菜生活100」の疑問をカゴメに聞く。本当に必要な量を補える?

ビジネス

 仕事や家事に追われる毎日を過ごしていると、野菜を食べる機会が少なくなりがちだ。厚生労働省が定める1日の野菜摂取目標は350g以上とされているなか、手軽にビタミンAなどの栄養分を摂れる「野菜飲料」は現代人にとって欠かせない。

 食品メーカーから多様な野菜飲料が販売されているが、カゴメの「野菜生活100」は定番として親しまれている。今回はその誕生背景や、商品開発上の工夫についてカゴメ株式会社 東京本社 マーケティング本部の中津隈(なかつくま)哲郎氏に話を聞いた。

カゴメ

カゴメ株式会社 東京本社 マーケティング本部の中津隈 哲郎氏

カゴメから野菜飲料が生まれた背景

 カゴメと言えばトマトジュースやトマトケチャップなど、トマトを使った商品を扱うイメージがある。「野菜生活100」は1995年に発売して以来、野菜を手軽に補える飲料として野菜飲料市場の拡大を牽引し、今では年間400億超の売上を誇る。野菜飲料を発売するきっかけについて中津隈氏は「日常生活でもっと気軽に飲める野菜飲料を作りたかった」と語る。

「『野菜生活100』を発売するまで、市場に出ていた野菜飲料は“おいしさ”よりも“野菜摂取”が中心でした。健康を気にする男性サラリーマンや年配の方といった、ごく限られた消費者にしか飲まれていなかった。それが徐々に飲みやすい味が重視されるようになってきたため、野菜に果汁を加えた野菜飲料を発売したことで、これまであまり野菜飲料を飲まなかった女性の消費者にヒットしたんです」

 また、「冷蔵庫には牛乳が入っているように、野菜飲料も常に冷蔵庫に入っている状態にする」という目標を掲げ、常に消費者ニーズに応えられるよう発売当初から紙パック、ペットボトル、缶といった容器のラインナップや、様々なフレーバーを展開している。

製法がシンプルだからこそ難しい

カゴメ

カゴメの定番商品『野菜生活100』

初めは250mlの缶だけでしたが、消費者のライフスタイルに合わせて容器のバリエーションも広げて商品展開してきました。とりわけ紙パックに関してはファミリー向けの大容量から、パーソナルな小容量の飲み切りタイプまで多岐にわたっていて、野菜飲料1つとってもこれだけ容器展開しているブランドは他に類を見ないと思っています」

 野菜飲料はともすると、野菜と果実という食材をブレンドすれば作れるシンプルな飲料だ。だが、「シンプルなものだからこそ、素材本来のおいしさや味わいを引き出すのは難しい」と話す。

「『野菜生活100』で使うメインの原料であるにんじん原料やブレンドする果実の組み合わせなど、野菜本来の味を引き出し、おいしさを常に追求する商品開発を行っています。特にこだわっているのはにんじん。産地や味もそうですが、にんじんの“香り”にも気を配っています。特に子どもは青臭さに敏感なので、原料のにんじんは“にんじん臭くないもの”を選んでいます。とことんこだわるからこその難しさを感じつつも、おいしくかつ飲みやすい野菜飲料を提供したいという思いは首尾一貫しています」

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