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大学OBのコネで就職も…「パワハラ上司」のせいで心療内科に通院

学び

 耐えきれなくなった川口さんは、別の部署の大学のOBに相談。しかし、返ってきたのはつれない反応でした。

「別の部署の大学のOBに相談したら、『気の毒だな』と同情してくれるものの、直属の上司は大手人材派遣会社から引き抜いてきた生え抜きの社員。

 結果を出して会社の売り上げに貢献しているため、誰も文句を言えない。いわば上司がヘッドハンティング部の『一国一城の主』みたいな存在になっていることをOBから聞いて、がっくりきました」
 

使えないOBたち。ついに辞める決心

パワハラ

 会社も見て見ぬふりをしている上司のパワハラは、生まれて初めての災難だったと川口さん。

「しかも忘年会の席で、兄や姉がいるとわかると、酔った上司は『お前をクズにしたのは、甘やかした兄弟だ』と、兄たちまでも罵倒するんです。もう、辞めるしかないと思いました」

 退職を決めたものの、次の仕事先は未定という川口さん。ヘッドハンティング部の部署で、企業の裏側を見てしまった川口さんは、企業に再就職する気が失せていたといいます。

「正月休みに帰省して、高校時代の同窓会に初めて参加すると、そこで同じようにパワハラ上司に悩んでいる同級生と意気投合したんです。同級生はWeb制作会社に勤務。2人で起業しようと盛り上がりました

同級生と起業。ツラい経験を糧にする日々

辞表

 正月明けに会社に辞職願を提出して、同級生と一緒に起業した川口さん。ヘッドハンティングのノウハウをいかし、転職に役立つセミナーほか複数の事業を展開しています。

「入社から3年目。パワハラ上司に我慢してきたのは、他の部署のOBたちが好きだったから。でも会社は学校ではないので、部署が違うとまったく別世界。パワハラ上司の下で、バカ野郎と怒鳴られてクソ扱いされるたびに、萎縮し続けました

 女性に対しても自信をもてなくなっていた川口さんですが、同級生と起業することで心機一転を図りたいそうです。

「OBが数多くいるからと安心しましたが、でもその企業をもっともっと知ることが大事でした」と、猛反省。自分の教訓を、セミナーで語っているそうです。

<TEXT/夏目かをる イラスト/三澤祐子>

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。『週刊朝日』『日刊ゲンダイ』「DANRO」「現代ビジネス」などで執筆。
Twitter:@7moonr

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