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収入ゼロでも休業補償なし…33歳・日雇い派遣添乗員の悲鳴

学び

 新型コロナウイルスでパラダイムシフトが起きている。株価の暴落で新興裕福層の中には資産の大半を失う人がいる一方、生活に困っていた層の中には富を掴んだ人も。この災厄で新しい階層と価値観は生まれるのか?

[コロナ格差]下剋上

写真はイメージです

繁忙期もほぼ収入ゼロに

 修学旅行や団体ツアーなどで客の世話をする添乗員として働く伊藤貴之さん(仮名・33歳)は、仕事を始めてすでに8年目。職歴としてはベテランの域だが、いまだ会社からは日雇い派遣の扱いだ。

添乗員業界は大手旅行会社でも正規雇用ではなく派遣の添乗員がほとんど。ツアーごとの契約となるため補償は何もありません。3月から仕事はゼロで、予定されていたツアーも6月まですべてキャンセルとなりました。これから五輪に向けて稼ぎ時だと期待していたところに、まさかこんな形で無収入になるとは思いませんでした」

 週4~5日勤務で月収は平均して20万円前後。桜の見頃やGWなどを迎える3~5月はシフトが増える繁忙期で例年だと月40万円になるはずだったが、今年はその書き入れ時を逃してしまった。実質、昨年末の閑散期から半年近く稼げない状況が続いている

見切りをつけて転職する仲間も

落ち込む男性

「フリーランスのような形態ですが、日雇い派遣なので私は持続化給付金を受け取れません。また、雇用調整助成金の対象になる労働者ではないので、企業からの休業補償もナシ。もともと社会保険も何もなく、もし旅先でトラブルがあってもすべて添乗員負担の業界です。

 以前から雇用形態に不満を抱いている同僚は多かったのですが、今回のコロナショックで『もう続けられない』と、見切りをつけて転職する仲間も増えてきました」

 3か月間の休業を余儀なくされているにもかかわらず、行政などからのサポートもない。伊藤さん自身も、今後の身の振り方には迷いがあるようだ。

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