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餃子の王将、コロナ外食不況でも健闘している理由

ビジネス

 日本全国の緊急事態宣言が解除され、徐々に日常が取り戻されつつあります。各社の決算報告も出揃い始めており、中華チェーン「餃子の王将」を運営する「王将フードサービス」(3月決算)は、純利益が昨年度比26.8%増の53億円と、好調な結果となっていました

餃子の王将

庶民的な中華料理がリーズナブルに楽しめる「餃子の王将」

 新型コロナウイルスによる外出自粛で、飲食業がダメージを受けている現在。3月決算なのでまだコロナの影響は本格的ではないとはいえ、王将フードサービスはなぜ好調な決算となったのでしょうか。

 本連載では「(ブラック企業アラート改め)アラートさん(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。今回はその秘訣を解き明かしていきましょう(以下、アラートさん寄稿)。

業績推移:客数減だけど増収増益

 最初に、業績推移を確認しましょう。今回は王将フードサービスの「業績・財務情報」に掲載されているグラフを活用して状況を把握していきます。

図1:王将フードサービスの直近5期の実績推移(業績・財務情報より引用)

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売上高:816億3,800万円→855億7,100万円(4.8%増加)

営業利益:69億2,400万円→76億9,800万円(11.2%増加)

経常利益:73億1,000万円→80億8,400万円(10.6%増加)

当期純利益:41億8,900万円→53億1,100万円(26.8%増加)

(※いずれも2019年3月期→2020年3月期の連結)
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王将フードサービス、決算短信7項目

 売上高に比べて、利益額が大きく伸びています。決算短信を確認すると、下記の7項目にわけて理由がまとめられています。特に①~③で挙げられた「原材料・人件費などのコスト改善」が純利益増に最も効いていると考えられるので、よく見てみてください。

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① 積極的な人材教育投資
 社内教育部署の「王将大学」や「王将調理道場」で個々の社員の育成を実施

② 生産性と料理の味の向上
・シフト管理の見直し・店舗マネジメント方法の改善で人件費の高騰を抑制し、商品価格の据え置きに成功
・従業員の調理スキルの向上・レシピの見直しも並行して実施

③ 安定的な国産食材の供給確保と継続的な品質改良
・上質な国産食材を安定的に確保するため、生産者との緊密な連携・産地分散を実施
・北海道産小麦の特性を最大限引き出すため、餃子の皮の製造工程の見直しを実施
・2020年3月期の人気メニュー…にんにくを控えたい方のために通常の餃子の約2倍の国産生姜を使用した「にんにくゼロ生姜餃子」(にんにくゼロ餃子からの改良商品)

④ 積極的な販売促進活動
・テレビCMの放映、人気ゲームとのコラボレーション、TV番組への積極的な露出
・スマホアプリ電子クーポンの定期的な配信
・お会計金額に応じて押印されるスタンプを集めて各種賞品(王将限定グッズ)と交換できるお客様感謝キャンペーンの通年実施
・「生ビールキャンペーン」「創業祭」など各種店舗キャンペーンを実施

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