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上司に「キミ、センスいいね!」と言われるようになる思考法

学び

「統合思考」を身に着ける

ビジネスシーン

 では、「センスがいい」頭の使い方とはどのようなものか。

 それは、「AもBもどちらもいい点、悪い点がある。だとすると、両方を統合したCという意見はどうか」という視点です。それをぼくは「統合思考」と名づけています。例えば、下記のような形ですね。

「確かに現状は社員の工数が増えてしまっているという事実がある。ただ、派遣社員を雇うことで毎月数十万円の追加コストがかかってしまうというのも正しい。

 一案として、現状の社員の工数を減らすために業務のたな卸しと自動化を実施し、さらに派遣社員を1か月単位の契約で雇えるように派遣会社と交渉するのはどうだろうか」

 上記の意見は、「派遣社員を雇うべき」という意見にも「雇わないべき」という意見の両方に配慮したものです

 さらに、「現在の工数が多すぎる」というそもそもの問題点にも言及したものといえるでしょう。「雇うべき」「雇わないべき」という議論の枠組みから抜け出して、一歩進んだ解決策を提示できていることがわかります。

 ただ、これが果たして最善の解決策なのかどうか、それはまだわかりません。少し考えただけでも、以下のような問題点がありそうです。

・1か月更新という契約は、派遣会社にとって受け入れられるものなのだろうか
・1か月更新で働く派遣社員は、のびのびと働けるのだろうか
・業務のたな卸しと自動化、と簡単に言うが、それは具体的にどのように進めるのか

 このような問題も、それぞれ「統合思考」を使って考えていくのです。「Aにすべき」「Bにすべき」と一面的に考えるのではなく、「どの人も納得できるように、ハッピーにできるようにするにはどうすればいいか」と考え、それに基づいて意見を練り上げていくのです。

まだ業務について深い知識を持っていない」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それはある意味では強みになります。

 深い知識を持っていると、どうしても「これが正しい」という「AかBか思考」になりがちなのですが、そうではない人の場合「本当にこれが唯一の解なのかな?」「みんなが納得できる折衷案があるんじゃないかな?」という統合思考をしやすいというメリットがあります。

「センスがいいな!」と思われるために、ぜひ「統合思考」を実践してみてくださいね。

<TEXT/Shin>

某外資系コンサルティングファームで戦略コンサルタントとして勤務したのち、現在は某外資系企業で業務改善や戦略策定等の業務に従事。ビジネス書作家。ブログ「Outward Matrix」、オンラインコミュニティ「Players」を運営。無料メールマガジンも好評配信中

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