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UberEats 配達員から感染の恐れも。ユニオンが訴えた現場の実態

ビジネス

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、大手ファミレスチェーンや居酒屋チェーンなどが時短営業や一部店舗の休業に追い込まれている。その一方で、急速に需要が高まっているのが、「UberEats(ウーバーイーツ)」や「出前館」といったフードデリバリーサービスだ。

ウーバーイーツユニオン

厚生労働省で会見を行う「ウーバーイーツユニオン」

 しかし、こうした状況下で、料理を届ける配達員の感染対策や、身の安全はあまり重視されてこなかった。4月10日、UberEats配達員などで構成される労働組合・ウーバーイーツユニオン(副執行委員長 鈴木堅登)は「新型コロナウイルス対策を求める」記者会見を都内にて行った。

UberEats配達員の安全対策を

 安倍首相は4月7日、首相官邸で記者会見を行い、東京都など7都府県を対象に、特措法に基づく「緊急事態宣言」を発令した。外出自粛や飲食店の営業休止の要請に伴い、フードデリバリーサービスを使うようになった在宅ワーカーも多いだろう。

 とりわけUberEatsは、2016年の国内サービス開始以来、これまで自宅で外食気分が味わえるサービスとして拡大してきた。今日では感染防止の観点から、日常生活に欠かせないインフラとしての役割と責任を担いつつある。

 しかし、ここで気になるのが、UberEats配達員自身が新型コロナに感染していないかという点である。罹患した配達員が利用客へと感染を拡大させてしまう恐れもある。記者会見に出席したウーバーイーツユニオンの鈴木副執行委員長は、配達員の現状についてこう語った。

「すべての流通業者がそうであるように、UberEats配達員は、日々、自らが感染するのではないか。また誰かを感染させてしまうのではないか、という不安の中で配達業務を継続しています。しかし、ウーバーは配達員の保護に対して具体的な対策を何も取っていません。配達員は、自主的に使い捨ての手袋を購入したり、手洗いや防護マスクといった一般的な感染予防対策を取っています。が、なかには休業したり、何の対策もしていないまま配達を続けている人もいます」

ユニオン側は「2つの要求」を申し入れ

ウーバー

都内のUberEats配達員(筆者撮影)

 ウーバーイーツユニオンは4月6日、UberEats運営会社・ウーバージャパン株式会社に2点の申し入れを行った。1点目は「パートナーセンターでのマスク、消毒液等感染症予防具の配布」であり、2点目は「配達1件に対して300円の危険手当の支払い」である。

「3月末頃から、パートナーセンターが全国的に営業停止になり、サポートセンターも電話が繋がりにくい状態が続いています。業務遂行のサポート品質が明らかに低下しているなかで、ウーバー側は何の補償もしないままです。配達員の衛生保護や、危険手当をつけるのが妥当ではないか」(前出・鈴木氏、以下同)

 パートナーセンターは、UberEats配達員が、配達員としての登録を行う場所であり、サポートセンターは、配達員や利用客のトラブル対応業務を受け持つ。そうした事業所が営業停止になり、配達員は不安を抱えているという。

「3月19日に新型コロナウイルス流行期における配達の取り組みについて、ウーバーからアプリ上で気をつけてほしいという通達が来ました。地域の安全を維持するための措置を講じているといった文言や、消毒液などの物資の手配が整い次第配達員に供給するという記述がありました。しかし、いまのところ物資は何も届いていません」

ウーバー

ウーバー側から届いた新型コロナ対策に関する通達(鈴木氏提供)

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