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新型コロナが追い風に。出前館が「営業利益赤字」でも強気なワケ

ビジネス

「シェアリングデリバリー®」とは?

 この「シェアリングデリバリー®」とは、2017年から開始された「出前館独自の出前システム」のことです。

 本来、各店舗で独自に出前の仕組みを構築するには、「注文を取る」「配達をする」「代金を回収する」といった仕組みを考案し、業務フローとして組み立てなくてはなりません。当然ながら、これには相応の資金や労力が必要です。

 しかし、出前館はこれらの仕組みをすでに備えているので、店舗側は成功報酬を支払うだけで出前ができるようになるのです。出前館のプレスリリースでは、概念図で説明されています。

シェアリング

図:シェアリングデリバリー®の概念図(プレスリリースより引用)

 これにより、規模の都合で出前を行いにくかった店舗も「シェアリングデリバリー®」の仕組みを活用することで出前を実施できるようになり、顧客も対応店舗の種類が増えることで出前館サービスをさらに活用することになります。また、出前の担い手も新聞配達員を活用するなど、上手にクオリティを担保した仕組みになっています。

 これは出前館、店舗側、ユーザーの「三方よし」の仕組みと言ってよいのではないでしょうか。

「出前館事業」と「通信販売事業」がメイン

売上高

図:セグメント別売上推移(FY2012-2019決算短信の数値準拠・筆者作成)

 続いて、セグメント別売り上げ推移を確認していきましょう。連結データがある2012年会計年度以降の数値を利用して作成しました。

 出前館の事業は「出前館事業(オーダー手数料/基本運営費/広告収入/システム受託開発/その他の5セグメント)」と「通信販売事業」に大別されます。通信販売事業は、子会社「薩摩恵比寿堂」が営む、鹿児島の焼酎を中心に扱う飲食店向け酒卸売事業のことを指しています。

 出前館事業のうち「オーダー手数料」と「その他」の伸びが企業成長の重要な要素であったことがうかがえます。この「その他」については、決算短信・有価証券報告書ともに特段の説明がないため、正確なところは外部からはわからない状況です。

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