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新型コロナが追い風に。出前館が「営業利益赤字」でも強気なワケ

ビジネス

「インキュベーションキッチン」とは?

 公式サイトには派生事業「インキュベーションキッチン」についての説明があるので、今回はこちらを深掘りしたいと思います。

 この「インキュベーションキッチン」は2018年3月から開始されたもので、法人・個人問わず「フードデリバリー」主体の飲食店起業予定者を対象に、出前館の「シェアリングデリバリー」の仕組みを活用して、低コストで、起業トライアルができる仕組みです。公開されている具体例は下記2件があります。

・黒毛和牛焼肉店「うしくろ」(2018年6月から開始)
・シェイク専門店「LENN CAFE」(2019年8月から開始)

 実例は限定的ですが、店舗側はコストを抑えて出前の仕組みを導入でき、出前館は対象店舗を増やせる。双方にメリットが明確な試みなので、今後の推移に目が離せません。

現場の声:トップダウン型。会社は適度な規模

出前館

出前館の口コミトップ(openworkより引用)

 さて、利用者としては魅力的な点が多い出前館ですが、働く側としてはどうでしょうか。口コミサイトを確認していきましょう。

 各種口コミサイトは転職支援事業をビジネスにしており、各企業がクライアントにもなっている関係上、著しい悪評は公開されないようになっています。その制約を踏まえて、現場の声を確認していきます。

【良い点】
・残業は少なめ(26時間/月)
・現社長(中村利江氏)が女性のため、女性の働きやすさに配慮されている
・それぞれの社員の顔を認識しやすい規模

【気になる点】
・給与は上がりにくい(メンバーレベルでは年収350万~500万円)
・社長の権力が強く、組織改編が頻繁
・体育会系の雰囲気が残っている面もある

 会社の規模は大きすぎず小さすぎず、一人ひとりの顔が認識できる程度です。残業時間がやや少ない点も好印象です。

 出前館の現職の代表取締役社長・中村利江氏は、2001年7月から経営に参画し、2002年に創業者の花蜜伸行氏から代表取締役社長の座を引き継ぎました。それ以降、現在の出前館を作り上げたといっても差し支えない人物です。

 ただし、その実力の裏返しなのか「社長の権限が強く、非常に強い社風なので、頻繁な組織改編や異動も起きやすい」という内容の意見が複数ありました。

 これを前向きに楽しめる人であれば問題ありませんが、腰を据えて働きたい人にとっては気が休まらない可能性が高いです。

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