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最新「ルンバ」は丸型から“D型”に。日本法人代表に聞く「家庭用ロボット」のあり方

ビジネス

30年の技術を賭けたハイエンドモデル

ルンバ

形状が丸型からD型へと変わった「ルンバ s9+」

 そして、2020年2月28日より販売された最新モデル「ルンバ s9+」は「これまでとは一線を画すルンバとしてかつてない清掃力と吸引力を備えたものだ」と語る。

「従来の丸型からD型に変更することで特に部屋の隅や壁際、狭い箇所の掃除が可能になり、『ルンバ 600シリーズ』と比較して吸引力は40倍にアップしました。さらに最新のセンサーやAIなどによる空間認識テクノロジーを駆使し、家の間取りを学習して記憶するので、常に最適化された掃除が実現できます。洗練されたデザインのハイエンドモデルとして、部屋に飾っておきたくなるような製品を目指して開発した唯一無二のルンバになっています」

 ルンバ史上最高の清掃力を実現し、見た目も高級感溢れるデザインの「ルンバs9+」。前出コリン氏は新製品発表会にて、その清掃力を「Beast(野獣)」と表現したが、まさに驚異的な吸引力がもたらす革新的な製品に仕上がっているという。同製品は、アイロボット社が掲げる「スマートホーム」実現に向けて鍵となる製品と言われている。

 部屋の状況を正確に認識するAI技術による掃除の最適化、Amazon Echo(アマゾンエコー)やGoogle Home(グーグルホーム)といったスマートスピーカーとの連携、機能性向上のためのソフトウェアアップデートや専用アプリからの遠隔操作など、家庭用ロボットのリーディングカンパニーだからこそ成し遂げられる最先端技術の結合が大きな特徴だ。

「ルンバが部屋中にあるIoT家電やデバイスと連携して家主の思い通りに家をカスタマイズできる。スマートホームの世界観は、『家自体がロボットになる』と例えています。スマホに依存しなくても家主が来ることで、その人に最適化されたアクションを自動で起こしてくれること。アイロボットの技術の行き着く先は、ロボットによるエコシステム構築です」

2023年までに目指す世帯普及率10%

 ルンバは2020年1月時点で世帯普及率は6.3%と発表。「今後は2023年までに世帯普及率を10%に引き上げるのが目標」だと意気込む。

「これからのシェア拡大はいかに行動変容(パーセプションチェンジ)してもらうかが大切だと思っています。ルンバは知っているけれども『本当に掃除してくれるのか』『高価なものなんてもったいない』『そもそも掃除は人がやるものだから不要なのでは』とする価値観の方もいらっしゃいます。また、『家が狭く、物が散らかっているのでルンバが活躍する場がない』と思っている方に対しても、身の回りをまずは片付け、綺麗にしてから掃除するという考えに立ってもらえるかだと思います」

 加えて、挽野氏は行動変容には「ユーザーの声」が最も説得力があるとし、ユーザーの事例を伝える工夫も行っていることを話した。

ルンバ

新製品発表会にて語られたルンバの提供する顧客体験

「時間の使い方や生活の質(QOL)を上げるために、掃除はロボットに任せて、人は他のことに時間を費やす。このような価値観を伝えるのは、ルンバのユーザーがどのような使い方を実践して、生活がどう変わったかを可視化していくことが大事。

 お客様の声が一番響くので、今後もユーザーの声をフィードバックし、ルンバの導入価値を伝えていければと思います。さらに、ユーザー向けのイベント企画を充実させてルンバのファンを増やしたり、ルンバを使った子供向けロボットプログラミングのSTEM教育を行ったりして、ルンバとのタッチポイントを増やしていきたいと考えています」

「ロボット掃除機一家に一台」を掲げるアイロボット社が、どのようにしてルンバを広めていくのか、今後の動向に注目したい。

<取材・文・撮影/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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