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90周年の津軽鉄道ストーブ列車。車内でスルメも焼ける

暮らし

 青森県の非電化ローカル線、津軽鉄道は例年12月1日から翌年3月31日までストーブ列車を運行している(12月のみ1日2往復、1~3月は1日3往復)。

ストーブ列車

ストーブ列車の多くは、ディーゼル機関車、客車、気動車の組み合わせで運転される

“冬の風物詩”として定着しており、目当ての乗客も多い。時代は大きく変わっても、昭和の雰囲気で乗客をもてなす。

ストーブ列車は混結運転

 津軽鉄道は津軽五所川原―津軽中里間20.7キロの路線で、1930年7月15日(火)に五所川原(現・津軽五所川原)―金木間、11月13日(木)に金木―津軽中里間が開業し、全通。12月からストーブ列車の運行を開始した。2020年で開業、全通、ストーブ列車はともに90周年を迎える。

ストーブ列車

五所川原を発車した五能線の普通列車深浦行き

 起点の津軽五所川原は、JR東日本五能線五所川原駅に隣接しており、跨線橋経由で直接乗り換えられるが、駅舎は別々に構えている。五能線から津軽鉄道のストーブ列車に乗り換える際は、前者の駅舎を出て、後者の駅舎に入り、乗車券とストーブ列車券(400円)を購入したほうがよい。

ストーブ列車

いよいよ汽車旅が始まる

 ストーブ列車3号津軽中里行きは、すでに入線しており、先頭はディーゼル機関車、中間はダルマストーブ搭載の客車、後ろは気動車の3両で運転される。気動車は通常の定期列車という役割を担うので、冬季は増結するカタチとなる。乗務員はディーゼル機関車の機関士、ストーブ列車用の車掌、気動車の運転士が乗り込む。

 ちなみに、客車1両の場合は気動車が牽引するそうだ。しかし、客車1両でも天候などの影響、客車2両連結時(おもに土休)は、気動車だけの力では心もとないので、ディーゼル機関車が牽引する。

客車自体、イマドキ珍しい車両

ストーブ列車

デッキに雪がちょっとだけ積もる

 今や全国的に珍しく、貴重な存在となった客車は1954年製で、すでに還暦を超えた。乗降用ドアは現代の鉄道車両ではありえない完全手動式(無論、車掌が操作する)。しかも貫通扉がないので、簡易オープンデッキの状態だ。このため、デッキに雪が侵入してしまう。

ストーブ列車

テーブルつきのボックスシート

 客室はダルマストーブが2台設置されているほか、座席はすべてテーブルつきボックスシート。荷棚は「網棚」そのもの。古い車両なので、冷房や扇風機もない。列車、客車というより、「汽車」のほうがしっくりくる。

ストーブ列車

ダルマストーブ

 ストーブ列車なので、“ぽっかぽか”をイメージしていたが、想像以上に暑くない。かといって寒くもなく、上着が必要ないほどの絶妙な温度で心地よく過ごせる。

ストーブ列車

カラオケのスピーカーが搭載できるよう、頭上に台を設けた

 客車自体は冬季以外でも使えるそうで、カラオケ列車用にスピーカーを置く台も設置されている。

ストーブ列車

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