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甘い言葉に誘われベンチャー転職も…ワンマン社長に振り回される日々

学び

 6年前にファイナンス会社から、外資系の子会社である人材育成ベンチャー企業に転職した坂本幸雄さん(仮名・35歳)

 上場を目指すという経営の青写真に惹かれて、スターティングメンバーになりましたが、だんだん雲行きが怪しくなります。そしてとうとう上場が不可能になってしまいました……。

 失敗の原因は何だったのでしょう?

「将来は株主で食べていける…」甘い言葉に誘われて

Cupid is hushing

※画像はイメージです(以下同じ)

「前職に特に不満はなかったのですが、異業種交流会で知り合った人財育成ベンチャー企業の幹部の人に教えてもらった、新しい会社の事業計画にとても魅力を感じました。

 それに、バックとなる親会社は僕も知っている外資系会社だったので、そこがついているのなら安心だろうと思って。しかも数年内に上場を目指すというビジョンも気に入りました」

 30代後半の幹部が耳元でささやいた「上場が可能になれば株を購入し、将来は働かなくても株主で食べていけるよ」という美味しい話を鵜呑みにした坂本さん。

 しかし、今は「40歳ぐらいで株主として、悠々自適に暮らせると思いました。今から考えると、超がつくほど甘かったですね」と振り返ります。

「分業がない」体制に困惑

スーツを着ているビジネスマン、腰に手を当てる

「スターティングメンバーは社長を含めて10人ちょっとでした。

 そこで、あっ、失敗した……と思いましたね。肝心の人材が集まらず、登録者の数も少なすぎて、スターティングメンバーが一丸となって営業に専念しようとしても、40代の社長が『オレがやる』と言って、部下に仕事を任せてくれないのです」

 しかも通常、社員が部署ごとに分業を担いながら、経営計画に沿って、売上に貢献していくはずなのに、「このベンチャー企業には、分業がないのです。まさかそんなという摩訶不思議な会社でした」と坂本さんは言います。

言うことが毎日コロコロ変わるワンマン経営者に振り回される日々

朝令暮改

「手に負えないのが社長そのものです。社長は言っていることが毎日コロコロ変わるからです。例えば託児所を作ろうとか、モデル事務所を作って儲けようとか、登録者にはプレゼントを進呈しようとか、思い付きでしか発言しない困った経営者なのです」

 部下を信頼できずに、自分だけが動くという社長のスタンスが、坂本さんにとって、不思議でならなかったといいます。

 そこで誘ってくれた幹部の男性に問い詰めますが、幹部男性も「一緒に仕事をするまで知らなかった」と落胆するだけ。

「しかも幹部男性は社長を骨がない男だの、見せかけだけだのと悪口のオンパレード。一体この会社はどうなっているのって、毎日が戸惑いの連続でした」

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