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くら寿司が大幅減益。客離れからの復活に期待できる強みとは?

ビジネス

「さかな100%プロジェクト」を推進

 さらに、店舗システムの改善にとどまらず、2010年から原材料である魚の「国内での生産体制の強化・改善」も積極的に行っています。

 これらの施策はくら寿司が店名に掲げる「無添(全ての食材において、化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料を一切使用しないこと)」や「食材の原産地情報の公開」の方針からも一貫しています。

 2018年には、国産魚の加工センターである「貝塚センター」から排出されていた魚の骨やアラを飼料にして、魚の廃棄ゼロを目指す「さかな100%プロジェクト」を開始しました。

さかな100%プロジェクト

「さかな100%プロジェクト」図解(ニュースリリースより引用)

 補足をしておくと、魚は自然界でも共食いをすることが多い生物です。そのため、魚の骨やアラを飼料にするのは非常に合理的な判断になります。

 また、2018年の5月9日に行われたこの発表後、くら寿司の株価は、2018年5月25日に8340円まで値上がりし、株式市場にはポジティブに受け入れられたものと考えられます。もし、BSE(狂牛病)級の出来事であれば、発表後に株価が急下降してもおかしくありませんが、実際にはそうではありませんでした。

 近年はAI・機械学習など、IT関連のトレンドワードを追いかける他業種の企業が多い中で、店舗システムや、原材料の供給体制を着実に物理的に改善していく姿勢は好感が持てます。

 そのため、飲食業のように、実際の調理・提供オペレーションの効率化が強く求められる業界で、IT系のバズワードに一喜一憂してしまうのは片手落ちといえます。飲食業は物理的なものを重視し、くら寿司のようにあるべきだと私は思います。

くら寿司「ホワイト/ブラック度」判定

くら寿司:★★★★☆

 経営基盤は経営陣・従業員ともに良好で、他社に負けない良い資産をたくさん持っています。しかし、現状はその資産を上手に活かしきれておらず、経営指標に反映されていない点が非常に歯がゆい状況です。

 ただし、「リアルな商品・食べ物を扱う企業である」という本分を常に忘れず、現場での施策積み上げを重視する姿勢を維持している点は評価すべきであると考えます。

 くら寿司についてのネガティブな意見が増えつつある今、それを払しょくしてほしいとの願いを込めて★4としました。

<TEXT/ブラック企業アラート(@blackc_alert)>

ブラック企業を生き抜いた歴戦のプロダクトマネージャーが、公開情報からホワイトorブラックを判定し、率直な理由とともにお伝えします。
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note:ブラック企業アラート

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